お知らせ

グローバル・リーダー香港研修コース 2012 参加報告

2012年11月21日

『グローバル・リーダー香港研修コース』参加報告 〔2012年11月6日~8日開催〕

 2012年11月6日~8日に香港で開催された『グローバル・リーダー香港研修コース(3日間)』に参加しましたので、その概要を報告します。

アクシスインターナショナル株式会社 中谷公巳

 

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会場

 研修期間中は晴天で過ごしやすい気候が続いたこと、そしてホテルの立地も良かったこともあり、早起きしてビクトリアハーバーに面する海岸通りを散歩してみました。朝日に照らされた九龍半島側から香港島の摩天楼を眺めつつ、リフレッシュしてから9:00からのトレーニングに臨みました。
 会場は香港 九龍半島側の中心街の一つ尖沙咀(チム・シャー・ツイ)にあるホテルHyatt Regency Hong Kongでした。

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コース概要

  今回のコースは「リーダーの立場に立って国際プロジェクトの立ち上げ、実行を擬似体験する」ということをテーマに設計されており、グローバル・プロジェクトに携わるマネジャーやリーダーが直面するさまざまな問題を、ディベート、ディスカッション、プレゼンテーションを通して考察し、発表するケーススタディ形式で学びが進みました。

 採りあげるケースは「インタフェース(多言語対応)」、「ミドルウェア、データベース開発」、「ビジネス要件(予算、調達期間管理)」、「マルチ・デバイス(PC、スマートフォン、情報端末対応)」など、昨今のITプロジェクトのトレンドとなり得るキー・パーツがそろったCRMシステム開発におけるプロジェクトマネジメント(実際のプロジェクトを元に作られたケース)です。

 プロジェクトにおける外的・内的リスク要件、調達(オフショア)、変更管理など、グローバル・プロジェクトで必ず起こり得る課題点の発見、リスクに対する備えといった実践的な内容をケースとして、チャイナ、韓国、台湾、日本の参加者14名が混成の4チームに分かれてお互いの考察について発表し合うことで気付きと学びを得る形式で進められました。

 なお、この研修はPMI香港支部のプロジェクト・マネジャー(Dr. Raymond、Dr. Kelvin)を講師に迎えて開催され、セッションは全て英語で行われました。

Dr. Raymond WONGによる講義:「考察」から「洞察」へと思考を深化させるファシリテーション

   1日目、3日目はグローバル・プロジェクトの概観、リスクに対する対処についてのPMI香港の代表のDr. Raymond WONGによる講義でした。
プロジェクトの背景にある潜在的な課題点、リーダーが取るべき予見的行動を見通しながら、発表者、発表チームが気付きを得られるよう、ケースの文書や状況の行間にある事象を投げかけてくれました。

 練り込まれたケースゆえ、どのような視点からの切り込みもできるのですが、自分の意見を述べる際、結論を発表する際には必ず、仮定条件、前提条件が求められました。発表の際は、予め用意したメモに従って注意深く発表していたのですが、途中からは「なぜ?」という Dr.Raymond WONGの促しとメンバーからの質問に挟まれる中、しどろもどろになりながらも結論までたどり着きました。

 「考察」から「洞察」へと思考を深化させることを我々に気付かせ、結論に至るまでの流れに何が決定的な問題になるのかをファシリテートする彼の講義スタイルは、確実に個々人の学びにつながったことは間違いありません。

Dr. Kelvinによる講義:ディベートやディスカッションを通して「ロジカルな思考、ラショナルな姿勢」を「共感」へと導く

 2日目はグローバル・プロジェクトにおけるリスクの発見や分析についてHSBCでシニア・トレーナーを務め、PMI香港支部の幹部の一人でもあるDr. Kelvinによる講義でした。

 リスクに対して、問題の本質をより具体的に突き詰める時、ロジカルな思考、ラショナルな姿勢が求められます。しかしながら、プロジェクト・マネジャーとして、チームが「why so」、「so what」を通して、気付きと共通認識へと高めるためにはもうひと手間必要です。
 ロジカルな思考、ラショナルな姿勢が共に中途半端な状態では、多様なバックグラウンドを持つチーム・メンバーにとっての真の納得と行動にはつながらない場合があります。
正反対の意見を尊重しつつも、論点を明確化し徹底的に議論するプロセスが必要で、それが、結果として多様性に対するリスペクトとソフトパワー「共感」を高めます。

 下手をすると喧嘩にもなり得るディベートやディスカッションでも、共感できるチーム・メンバー同士であれば、意見をぶつかり合わせ、問題の本質をいち早くあぶりだすことができます。それがチームとしての危機意識の共有であり、弾力性のあるプロジェクトマネジメントを可能にします。
普段の仕事やプロジェクトでは誤解を恐れるがあまり、実行できないことが多いのが事実ですが。

 Dr. Kelvinの講義スタイルは、時に厳しい口調で各チーム同士のディベートやディスカッションをけしかけるものでしたが、その手法の有益さを後に皆が気付かされました。会場内の各メンバーは皆、緊張感を途切れさせることなく、最後まで答えを見出す工夫とアウトプットのために手を休めることはありませんでした。

この研修で学んだグローバル・プロジェクトの気付き

 今回のグローバル・リーダー香港研修はいろいろな意味で、これまで日本で受講してきた研修とは違っていました。
プロジェクト・マネジャーとしての経験やなまじ知識があると、カリスマ的で達観したプロジェクトマネジメント像を描きつつ研修に参加してしまうことが多くなります。しかし、その場合はディスカッション時に意見がぶつかるわけでもなく、怒り出すほどの議論になるわけもなく、予定調和、ゆるすぎる印象が残り、教科書的な内容で閉幕ということが多くなります。

 今回は、日本語が一切通じない中、限られた語彙の中で概念を説明し、意見を表現することを否応なしに求められました。このような中で、「リーダーの立場から国際プロジェクトを立ち上げて実行を擬似体験することで、いつもと違う視点で物事を見たり考えたりできるようにする」ことを学ぶこととなり、結果的には、普段は当たり前に相手に伝わるものだと考えていた「常識」というものを改めて見直す良い機会となりました。

 グローバル化が目まぐるしく進む中、日本人だけに閉ざされたプロジェクトではなく、多国籍環境の下で文化的多様性を認識した上で取り組むべきプロジェクトが今後ますます増えていきます。

 今回の体験は、自身の会社経営や関わっているプロジェクトにも必ずや活かすことができると確信しています。また、立場を変えて、自身が講師となるケースであっても極めて有用な知見、学びがあり、この研修で得られた気付きと価値は極めて大きかったと感じています。

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 講義、ファシリテーションを担当していただいた講師のお二人(PMI香港支部 Dr. Raymond、Dr. Kelvin)、企画から運営に関わられたPMI日本支部 田坂事務局長、大西さん、香港支部スタッフの Ms.Shirley Wong、Ms.Rachel Lau、そして、このコースに一緒に参加したチャイナ、韓国、台湾のリーダー、メンバーの皆さま、本当にありがとうございました。