お知らせ

Mongolia Conference&Region9 Meeting 報告 〔理事 麻生重樹〕

2016年11月18日

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 Mongolia Conference(10月7日・8日)とRegion9 Meeting(10月9日)に参加しましたので、報告します。

PMI日本支部 PMコミュニティ活性化担当理事
麻生 重樹

モンゴルのPM事情

 Region9はPMI北東アジア地区(日本、モンゴル、韓国、台湾、香港)5カ国で構成されています。
 モンゴル支部は、一昨年に設立されたばかりの若い支部で今年が3回目の年次コングレスです。
 鉱工業産業が中心のモンゴルですが、プロジェクト・マネジャーの65%は35歳以下。会場は非常に若者が多く活気にあふれていました(ちなみに、PMI日本支部は40歳以下15%未満,半数以上が50歳以上)。また、女性の比率も非常に高く、2日目のWorkshopの1つでは、参加70名中55人が女性でした。

 PMP取得者数は、ようやく30名を越えたところとのことですが、昨年からモンゴル国内でも受験できるようになったとのことで、今後益々増加していくと思われます。
 コングレス参加者は昨年の約250人から今年は約400人と急増しており、PMへの関心が非常に高いと想像されます。国の全人口は約300万人でその約7割が首都ウランバートル付近に居住しているとのことです。プロジェクト・マネジャーに関心を持っている方々は上流階級層が多いと思われますが、モンゴル語、英語は当然のこと、中国語かロシア語+αと、殆どの方が3~4カ国語話すことができるようです。日本への関心も高く、日本語学校も人気が高いとのことでした。

コングレス初日

 さて、コングレスの初日は、主催者挨拶、Region9からの招待者を一人ずつ紹介していただいたのに続いてPMI本部のブランド・マネジャーであるCindy女史による基調講演『Missing the Right Talent Impact Business Result』で開幕しました。

 講演はPMI Envisioned Goal -Worldwide, organizations will embrace, value, and utilize project management and attribute their success to it.- の紹介があり、米国下院でPMIAA(Program Management Improvement and Accountability Act)が下院で承認されたという内容でした。PMI Envisioned Goalの詳細は(http://www.pmi.org/-/media/pmi/documents/public/pdf/about/strategic-plan.pdf)に記載があります。続いて、モンゴルの企業経営層3人にから20分ずつの基調講演がありました。
 上述のようにProject Managementについて勉強中またはこれから勉強するという参加者が多いことから、基礎的な内容をわかりやすく説明された内容でした。

 中でも、Technical Skill (*1) とSoft Skill (*2) のそれぞれの要素を説明した後に、この2つを自転車の両輪に例えて前輪=Soft Skillは進む方向を決めるもの、後輪=Technical Skillは前に強く進めるもので、両方のバランスが重要であるという内容は、参加者の多くにわかりやすく伝わったようでした。

(*1) Technical Skill (Integration, Scope, Time/Schedule, Cost control, Procurement, Execution)
(*2) Soft Skill (HSE(*3), Stakeholder management, Communication, Risk, Continuous improvement)
(*3) HSE Health, Safty, Environment

基調講演の次は、3つの会場に分かれてのセッションで、それぞれのテーマは
 ・Construction / Mining
 ・Non-Mining
 ・PMO / Project Financing

でした。モンゴルでは鉱工業が産業の中心で、必然的にMega Project が多いことをふまえて、まずMega Projectを
 ・非常に大きな投資を伴うもので、10億US$以上のコストがかかる
 ・長期間継続し、経済、環境、社会に大きなインパクトがある。
 ・ステークホルダーが多方面(政財界から個人まで)にわたる。

と定義。チャレンジ要素として

 【内へのチャレンジ】
  政治的圧力や政情不安定/不安定な経済情勢やビジネス環境/政府の許認可/プロフェッショナルの不足 等
 【外へのチャレンジ】
  資金集め/輸出経験の不足/不安定な市場 等

といった説明があり、成功への秘訣は、

 明確なビジネス戦略/強いオーナチームとリーダシップ/確固たる契約と調達のスキル/強力なステークホルダーマネージメント 等

と締めくくっていました。この内容は鉱工業に特化したものではなく、規模の違いはあっても、IT業界や他産業のプロジェクトマネジメントにも通じるものだと思います。

コングレス 二日目

 二日目は2つの部屋に分かれました。基本的にはWorkshop形式で、プロジェクトマネジメントの基礎から実践に向けてどのように応用していくかが話題の中心でした。
 私もモンゴルの方に交わっていくつか参加しましたが、Region9 からの招待者を中心に、講義は英語で実施される講師もいらっしゃいましたが、チーム内での議論はモンゴル語の方がお互いに細かい意思疎通ができるようで(当然ですね)、モンゴル語が使われる場面も多々ありました。
 もちろん、モンゴル語の会話は理解できませんでしたが、彼らの表情を見ている限り非常に熱心かつ前向きであり、意欲の高さが感じられました。また、私が参加したテーブルは比較的プロジェクトマネジメント初心者の方が多かったようですが、議論に迷うと英語で背景の説明をされた上で熱心に質問する点からも意欲の高さを感じることができました。

参考までにWorkshopのテーマを掲載します。

 ・Getting Projects Off to a Good Start.
 ・Developing an Effective Project Team
 ・Leadership in Project Management
 ・International Management Standard Ways to Accelerate Mongolian Economic Development
 ・Real Estate Development Process and Engineering Infrastructure
 ・Effective Project Management Session
 ・Practical PM Tools for Cross Functional Problems and Project Schedule Creation  (日本支部の除村理事が登壇されました)
 ・Setting up PMO – Tools and Techniques

Region9 Meeting

10月9日の北東アジア地区年次総会は、正式には「2016 PMI LI Region 9 Meeting」で前述の5カ国の代表者のほか、本部からはこれも前述のCindy女史、Asia Pacific(アジア、オセアニア地区の4つのRegionを束ねた組織)事務局からChevon女史とYeYoon女史などが一堂に会し、PMI本部の方向性の共有、各支部運営の活動概要や課題の共有といったテーマで議論しました。なお、Region9のメンターは今年度から元日本支部会長の神庭氏が就任されています。
 
Cindy女史の講演概要は

This session explored how the local chapter connection blends with the global strategy of PMI, which serves to advance acceptance and practice of the profession. A brief history of PMI was shared together with statistics that show how PMI has progressed through the years to where it is now.

であり、また、AP事務局からは

In this session, important points were highlighted, such as duties of board members, the PMI Chapter Roadmap (2016-2018) and tools to help chapter leaders in their duties. New toolkits that were put together by the marketing team to help chapters was also introduced. They include Marketing Education Toolkit, Chapter Volunteer Engagement Toolkit, and the PMI Ethics Toolkit. The attendees got a glimpse of the PMI Ethics Toolkit in more detail by taking part in the Chapter Board Ethical Assessment exercise. 

の紹介がありました。

 上述資料を含め、PMI本部のWeb Siteには研究論文をはじめ膨大な資料が掲載されています。日本支部でも翻訳委員会や有志の方々がいずれもボランティアで精力的に日本語に翻訳して日本支部のサイトに掲載していますので、是非ご覧下さい。
 また、たくさんの有益な情報が本部サイトには逐次登録されており、翻訳していただくボランティアの方を常に募集しています。ご興味、ご関心の有る方は是非日本支部事務局にご連絡ください。
 
 話はそれましたが、昨年度の活動紹介では、各支部ともPMの最新トレンドを中心としたセミナー開催やPM育成(特に若手)のためのWorkshop開催、関連企業、団体との協業等を精力的に実施し、PM力の強化ならびに支部会員増に向けた取り組みをされています。
 また、日本を含めた台湾、韓国の3支部は、各種資料やstandard類を自国語に翻訳して普及することにも注力しているという紹介がありました。奥澤会長から日本支部の特筆事項として、委員会・研究会組織の再編、日本版LM(Leader Meeting)の開催等が報告されました。
 続いて報告された各支部のSWOT分析で共通していたことは、

  “強みや機会”として

● PMP取得者が継続的に増えていること
● 企業内でもプロジェクトマネジメントの重要性が徐々に浸透してきていること
 が挙げられていた一方で、

  “弱みや脅威”として

● PMP取得以降の継続的学習をどのように根付かせるか
● 経済成長が不安定であり、企業の支援が得にくいこと
● IPMAをはじめ、PMI以外の組織がアジア地区に侵攻してきていること
 等があげられていました。

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おわりに

 Region9 に所属する5カ国の中では、日本支部は会員数やPMP®取得者も一番多く、まだまだ潜在的な力がたくさんあると感じました。
 日本の少子高齢化やマーケットの飽和状態からGlobalへの進出加速が声高に叫ばれています。この潜在力を結集して、Region9 を皮切りにアジア地区をLead 出来るように活動していきたいと思います。
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