お知らせ

PMI Hong Kong Asia Pacific Project Management Congress 2018 参加報告

2018年11月14日

 2018年11月3日(土)に開催されたPMI香港コングレスに参加してきましたので報告いたします。

PMI日本支部 理事 除村 健俊

PMI香港支部について

PMI香港支部は2017年に創立20周年を迎えた歴史ある支部で、支部会員数:1,500人余、PMP取得者数:6,600人余の規模があります。
また、以下のような中期戦略を掲げ、これらに沿って多くの活動が実施されています。
 
【2017~2019戦略】
1. Increase Awareness & Adoption
2. Develop. Nurture. Sustain.
3. Engage. Collaborate. Outreach.

PMI香港コングレス2018の概要

 昨年はPMI香港支部創立20周年でありコングレスは大規模な開催だったようですが、今年は1日だけのこぢんまりとしたもので、Cyberportという場所で開催されました。ここは香港の南に位置する香港島の西側にあり、香港空港からAirport Expressという電車に乗り香港駅で降り、そこから車で20分ぐらいの場所にある技術関連や投資関連のイベント開催や多数のスタートアップ企業が入居している巨大な複合施設です。

 今年のコングレスのテーマは、Embrace Diversity, Empower People 。
 世の中ではAIやIoTなど技術にフォーカスが当たっていますが、やはり事を成すのは人であるということで人の重要性が強調されていました。

 

香港2018_1.jpg

オープニング

 コングレスの参加者数は200名強で、開始から終了まで講演は一つの部屋で行われました。
 まず、PMI香港支部会長のMrs. Rossana Hoによる“Opening Ceremony & Welcome Speech”。内容はコングレスのテーマやPMI香港支部の戦略の説明、さらに、2017年度の活動の説明でした。彼女の講演は、親しみやすく、聴衆を巻き込むのが大変上手いと感じました。

 次は、コングレスの責任者であり、次期メンターというポジションにつくMr. Danny Chungによる挨拶でした。 コングレスの中で、若手PM(高校生)やスポンサー企業への表彰が行われていましたが、PMI香港支部では高校生を対象としたPM研修を実施し、コングレスでは研修の中の優秀プロジェクトやPMを選んで表彰するなど、若者の取り込みに積極的です。

 また、スポンサー企業・政府との関係強化に力を入れており、スポンサー企業を表彰するなど戦略に沿った活動が確実に実施されている印象を持ちました。

 その後、外部講演者による9つの講演が実施されました。特に興味深かった3つの講演について次に概要を記します(表中の青色着色部)。

講演概要

Speaker Name Speakers' Title Company Topic Title
Mr. Victor Lam, JP (Guest of Honor) Government Chief Information Officer The Government of the HKSAR “Forging Ahead to Develop Hong Kong into a world famed Smart City”
Mr. David Au Executive Director Airport Authority, Hong Kong “Ready for Take-off ?”
Mr. George Lai Global Head of IT & Operations Chubb “Next Generation Workforce”
Prof. Christian Wagner Chair Professor of Social Media, Department of Information Systems City University “Creating Project Success through Diversity: The case of City University’s Scholars system”
Mr. Gary McLaren Chief Technology Officer Hong Kong Broadband Network “5G – Hype vs. Reality”
Mr. Damien Wu Chief Information Officer Link REIT “Smart City, Smart Projects – A startup approach to projects in a traditional industry”
Mr. Ralph (Zixun) Zhu Senior Project Management Expert Alibaba “Technology expands business boundaries – The development of new retail project in Taobao
Mr. Bernard Kuhl Chief Operating Officer, Global Transaction & Payment Services Societe Generale “Coaching Empowers people”
Mr. Peter Poon Deputy Chief Executive Officer The Hong Kong Society for Rehabilitation “Barrier Busters – A Community Project for Empowerment & Inclusion”

 基調講演は、香港政府のCIOによる香港のSmart City構想がテーマでした。
 世界各地でSmart City実現に向けた活動が繰り広げられていますが、香港も社会問題を解決し、よりよい生活を目指して活動が進められています。
 講演は、スライドは使っていませんでしたが、Smart City構想の6つの領域( “Smart Mobility”, “Smart Living”, “Smart Environment”, “Smart People”, “Smart Government” and “Smart Economy”)で今後どのようなことが実現されるか前向きで夢のある内容でした。
 また、香港政府のCIOがPMIという一組織のために講演してくれることはPMIと政府の結びつきの強さを感じさせるものでした。
 なお、香港のSmart City構想についてはこちらの情報が有用です。 

 2番目の講演は、香港国際空港運営会社が計画している空港の拡張計画に関するものです。
香港国際空港は国際線旅客数が世界第3位、貨物扱い量は世界第位1位であり現在2つの滑走路を有していますが、これに3本目の滑走路の拡張と、多くの旅客をもてなす施設を建設する計画についての講演でした。
 空港の現状の具体的な話から始まり、City AirportからAirport Cityに向けた壮大な構想に関するもので、これも前向きな希望がある講演でした。  以上二人の講演者は、かなりの大物の方々のようでした。

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2番目 David Au氏の講演

 7番目の、Alibabaで進んでいる新たな小売りビジネス構想を実現するプロジェクトリーダーの講演も興味深いものでした。
 Alibaba会長のJack Ma氏は2016年にOff-line, On-line, Logistics, Dataをサプライチェーンに統合するという新しい小売りビジネスのコンセプトを提唱しましたが、本講演ではこの実現に向けて実施されている、Unmanned Store, Little Restaurant, Heart Selection, Home AI, Fashion AI, Future Hotelなどのプロジェクトが紹介されました。
 これらプロジェクトはAmazonとの激しい競争で行われていますが、日本も頑張らないといけないと強く感じました。
 講演者の、「すべてがうまく行くとは限らないが、ゴール実現に向けて頑張っている」という話が印象的でした。

 その他の講演は、第5世代移動通信システム(5G)について、世代の特徴と扱い方、コーチングについて、障害者支援プロジェクト、大学の研究者業績管理システム構築プロジェクト、などテーマに沿った幅広いものでした。

 講演内容はいずれも興味深いものであり、新しい知識を吸収できると共に「自分も頑張らないと!」と思わせる前向きな講演でした。

 途中でコーヒーブレークやランチがあり、多くの参加者は名刺交換や会話を楽しんでいました。また、広東語での講演は無く全てが英語で行われており、グローバル・イベントであることを深く印象付けられました。
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Gary McLaren 氏の講演

気づきと学ぶべきこと

今回、PMI香港コングレスの参加を通した気づきと学ぶべきことを記しておきます。

【1. 英語での講演の重要性】

香港支部は英語ができるステータスのある人たちが集まる組織であるというブランドを確立しています。モンゴルもそうでしたが、講演は全て英語で行われており、日本もグローバルに伍していくためにやはり英語の必要性を強く感じました。

【2. 前向きな講演による「日本ももっと頑張らないといけない」という刺激】

今、日本では働き方改革や老齢化社会、年金・医療の問題など現実的で重要な問題がフォーカスされています。2020年にはオリンピックもひかえていますが、今一つ盛り上がりに欠けるようにも思います。また、製造業での品質問題も噴出しています。自分が手掛けているプロジェクトが社会に人にどのような価値を生み出すかもっと大きく捉えなおし、一人ひとりがその実現に前向きに取り組む必要性を感じました。

【3. 若者の多さ】

コングレス参加者には若者が多く、ここでも戦略との整合と活動の勢いを感じました。国全体の人口年齢構成の問題もありますが、PMI日本支部も若者を引き付ける施策に力を入れることの必要性を感じました。

【4. PMI日本支部のブランド確立の必要性】

PMI日本支部は支部会員数4,500人を超える大きな組織となりましたが、それに見合う会員のキャリアアップや能力向上、人脈形成、ステータスなどに繋がる魅力的なブランドの確立の必要性と、その確立に向けたマーケティングの重要性を改めて認識しました。

【5. 支部間の連携強化の必要性】

PMI日本支部は、日本、韓国、台湾、香港、モンゴルから構成されるRegion9に属していますが、各支部は独立性が強く、支部間で連携して行う施策は少ない状況です。しかし、若者や企業、政府・自治体、NPO法人などが参画している今回のコングレスに参加し、国や地域社会の問題解決を通じて支部間の連携強化を図っていける可能性を認識しました。

 

以上、PMI香港コングレスの参加を通して得た気づきを基に、今後、PMI日本支部発展の一翼を担って行きたいと考えています。