語り手が、次は聞き手にまわる

~2026年8月度 定例会レポート~

2026年8月17日

PMI日本支部 関西ブランチ PM実践研究会

PM実践研究会は、月に一度オンラインで集まっています。平日の夜、90分。全国に散らばったメンバーが画面越しに顔を合わせ、進行中の活動をひとつずつ確かめていきます。

議事録には残らないけれど、その場にいると面白いことが起きています。今月の定例会から、いくつかお届けします。


ショートケースは「順送り」でつくられる

わたしたちが開発しているショートケースは、実際にプロジェクトで苦労した方へのインタビューから生まれます。10数行の教材の裏側には、必ず誰かの実体験があります。

面白いのは、その担い手が固定されていないことです。

前回のケースで自分の経験を語ったメンバーが、次のケースではインタビュアーとして聞き手にまわる。語られる側から、聞く側へ。この入れ替わりを、意図的に順送りでやっています。

背景にあるのは「できるだけいろんな人にインタビューの経験をしてほしい」という考えです。話を聞き出す技術は、座学では身につきません。実際に人の前に座り、どこを掘れば核心に届くのかを探るしかない。ケースが1本増えるたびに、聞き手の経験を積んだメンバーも1人増えていきます。

今回の定例会でも、次のショートケースに向けたインタビューの段取りを確認しました。語り手はこれまで聞き手をつとめてきたメンバー、聞き手は前回の語り手です。教材が増えるのと同時に、研究会の中で経験が回っています。


秋には、オンライン版のワークショップを

今年すでに対面で開催したショートケース・ワークショップを、10月24日(土)にオンラインで開催することを企画検討しています

扱うケースは対面版と同じものになります。会場まで足を運ぶのが難しかった方、関西以外にお住まいの方にも参加していただけるよう、同じ体験をオンラインで用意します。日程はまだ確定しておらず、募集の詳細とあわせてあらためてお知らせします。

ワークショップでは、参加者全員で「どこが懸念か」「では何をするか」を検討します。正解を教わる場ではなく、それぞれの現場の経験を持ち寄って議論する場です。同じケースを読んでも、立場が違えば見えるものが違う。その差分がいちばんの学びになります。


学生に届けるための、小さな改善

わたしたちは大学でもPM実践ワークショップを実施しています。今回の定例会では、その改善点を話し合いました。

議題にあがったのは、事前学習用の動画です。実際の講義を録画したもので、画質と音声に課題がありました。ただ、議論が深まったのはそこではありませんでした。

「なぜこの内容を見てもらうのか」という意図が、学生に伝わっていなかったのではないか。動画を見せる前の動機づけが弱いと、学生からは「よくわからないけれど、画質の悪いビデオを見せられた」という体験になってしまう。だから撮り直すなら、冒頭に「なぜこれを紹介しているのか」を差し込もう。そういう結論になりました。

もうひとつは、フィッシュボーン図(特性要因図)の説明資料です。名前は聞いたことがあっても、実際に書こうとすると学生は戸惑います。当日いきなり使い方を説明するのでは遅い。そこで事前に読める説明資料を用意することにしました。この資料はAIに下書きさせ、メンバーが手を入れています。

こうした改善の話ができるのは、参加した学生から良い反応が返ってきているからでもあります。「すごく良かった」という声が届いていて、来年はもっと参加率が上がりそうだという見通しも共有されました。届いている手ごたえがあるから、もう一歩よくしたくなる。


もっと多くの大学へ、どう届けるか

関西以外の大学にも広げていきたい。これは以前から話し合っているテーマですが、今回はアプローチの順番について面白い議論になりました。

「ワークショップをやらせてください」といきなり持ちかけても、大学の先生からすれば「知らんがな」という話です。まず、その価値を感じてもらう段階が要る。

そこで出てきたのが、プロジェクトマネジメント教育に関心のある先生方に向けた、オンラインの説明会という案です。いきなり本番を打診するのではなく、どんなワークショップなのかを知ってもらい、少しだけ体験してもらう。そこで手ごたえのあった先生と、具体的な相談に進む。

オンラインであれば、北海道でも沖縄でも距離は関係ありません。ステップをひとつ挟むことで、かえって話が前に進むのではないか。そんな見立てです。

大学関係者の方で、学生向けのプロジェクトマネジメント教育に関心をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡ください。 どんなことをしているのか、まずはお話しさせていただきます。


新しい仲間の目に映ったもの

今年から参加しているメンバーが、入会のきっかけを話してくれました。

研究会は「学ぶ・創る・伝える」の三つを軸に活動しています。そのうち心を動かされたのは「伝える」だったそうです。

学生と直接ふれあいながら教育の場をつくっている。それが新鮮に見えた、と。長く続けている側にとっては当たり前になっていた部分が、外から来た人には強く映る。言われてはじめて気づくことがあります。

この日は、2015年に京都で開催したワークショップの写真も画面に映りました。写っている受講者のひとりは、いま研究会のメンバーです。あのとき参加した人が、いま一緒に教材をつくっている。10年越しでつながっている縁が、写真の中にありました。


一緒に共修しませんか

PM実践研究会は2007年に発足し、IT・製造業・エンジニアリングなど多様な業界出身のメンバーが集まっています。月1回のオンライン定例会を中心に、ショートケースの開発と、ワークショップの実施を続けています。

そして活動の源は、実際のプロジェクトで苦労された方の経験です。

プロジェクト経験を語っていただけるかたを、常時募集しています。 事前アンケートのご記入と、1時間程度のインタビュー(オンライン・オフラインどちらも可)にご協力ください。語っていただいた経験は、次の誰かが学ぶための教材になります。そしてもしよろしければ、その次は聞き手としてご一緒しませんか。

PM実践研究会の見学・参加を希望される方はこちらから
https://www.pmi-japan.org/page-943/

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