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【活動報告 2019年9月度】中部ブランチ主催 特別セミナー 〔Q&A〕

〔セミナー結果概要報告ページは こちら

講師-1:佐藤 法仁氏 国立大学法人岡山大学 副理事(研究・産学共創担当)・URA  内閣府 上席科学技術政策フェロー

質疑応答要約

【Q1】AI戦略の具体的事例がありましたらご紹介お願いします
【A1】身近な例として、医療の事例があります。例えば、放射線科の医師が新型コロナウイルス感染症の肺炎の画像診断に、AI戦略に基づいたAI診断を活用しています。また、人材育成にも各国のAI戦略で事例が挙げられています。大学では、例えば滋賀大学のデータサイエンス学部のAI教育の事例があります。リカレント教育にもAI教育の事例がありますが、AIリテラシーを上げていく課題があります。人材育成には長い時間と経費、労力が掛かっていますので、今回の講演で紹介したAI戦略に基づいた人材育成が各国の特色に合わせて実施されています。

【Q2】テクノロジーを体感していくにあたり、多くに触れることで耐性が付くというお話大変参考になりましたが、昨今セキュリティの問題もあり利用が進まない点もあります。セキュリティに対する課題、不信感についても耐性が低い点が考えられると思いますが、そこへの解決策としてセキュリティリテラシーの問題があります。学習しましょうというのは簡単ですが、何か事例などありますでしょうか。
【A2】デジタル化が進む中でセキュリティ課題は重要です。セキュリティを提供側が一般の利用者に分かり易い言葉で技術を伝え、紹介することが重要であると考えています。ついつい専門分野にいると専門用語や略語を使ってしまいますが、それは万人が理解できる言葉ではありません。またこれは個人的な意見ですが、テクノロジーをスムーズにストレスなく使用できるのが当たり前であり、サービスとしてもそれが当然と認識されています。ただこれは技術的なこともありますが、ご指摘のセキュリティが利用者の認識しない裏方でカバーしている点があります。この裏方の働きが素晴らしすぎるので、利用者は「耐性」がつかないのかもしれません。実装化が難しく、私もパッとすぐに思いつかないですが、ストレスになり過ぎない程度のもので「耐性」を付けることでセキュリティリテラシーを身についていくことができるかもしれません。

【Q3】学校のICT教育が、AI教育に結びついていると考えたことがなかったのですが、この関係についてどう理解したらよいでしょうか。
【A3】ICT教育とAI教育ともにテクノロジーを基礎として成り立つ教育、あるいは教育ツールかと思います。教育を通してテクノロジーに触れるという点で、この両者は共通項があります。そしてICT教育をより効果的に行う上でテクノロジーの向上は必須であり、その中でAI技術の向上は同様に重要です。つまり教えるというノウハウをAI化することはICT教育の高度化、効率化などに大きく寄与しており、結びついています。
 次にICT教育は単に物事について、テクノロジーを用いて効率的に学ぶということに留まらないと思います。つまり学びの多様性が今以上に広がり、それと共にテクノロジーをより深く学ぶ、その過程でAI教育というものが入ってくると思われます。つまり「テクノロジーが発展して便利になるけれども、そのテクノロジーや次に来るテクノロジーを学ぶ必要ある」という、テクノロジー学習のサイクルが続き、その中にAI教育(AIテクノロジー学習)が組み込まれてくる、そしてそのサイクルはテクノロジーの発展に寄与していくと思います。以上のことからICT教育とAI教育は相互に結びついているものだと考えます。

【Q4】AIリテラシー以前に、ITリテラシーやSTEM教育など、国民全体の底上げが必要な領域が多々あると思います。どういうところに注力すべきだと思われますか。
【A4】どれも大切ですが、「リベラル・アーツ(教養)」の領域が重要であり、その底上げが必要だと思います。STEM教育は、現在「AArt)」が加わり、「STEAM」と呼ばれるようになりました。「A=Art」は「芸術」という意味もありますが、「リベラル・アーツ(教養)」の意味も含まれています。どれだけ凄いサービスや機能がついたモノでも、それが人間中心でなければ使い勝手も良くないしですし、時には争い事のタネになることもあります。AIITを学ぶ、使う、作る点においても単に技術中心なことだけではなく、教養を加味した人間中心の視点であるべきだと思います。この点は社会が人からAIに取って変わらないためにも大切な点であり、注力すべき領域だと思います。
 皆さんは仕事や専門分野以外の話や文章などの表現で、人々を「あぁなるほど!」、「そういう視点があるのか!」「それは役立つ!」と思わせる「知」はありますでしょうか?多様な知を表現できる能力が今後の社会でますます必要になってくるのではないでしょうか。

講師-2:細川 昌宏氏 トヨタ自動車株式会社 IT先行開発部主査、株式会社トヨタシステムズ 取締役

質疑応答要約

【Q1】アジャイル開発でウォーターフォールのように要件定義をしっかり行うような開発モデルの考え方は無いのでしょうか
【A1】要件の書き方が変わる。要件を入力していくと画面ができる仕組みを作った。テンプレートを活用したりして、そこでできあがったものがシステムのインプットとなるイメージ。そのためのツールとしてOut Systemsを活用しています。

【Q2】社内にITシステムを導入する際に、運用率が低い場合は、どう現場を巻き込むべきでしょうか?
【A2】システムのログで利用しているのか、使っていないアプリはあるかとして活用している。またセキュリティの観点で間違ったことをしていないかをチェックするために活用している。今後はIOTなど含めどのような使い方で価値を出したかを見ることにも活用していきたい。

【Q3】大企業だと仕様承認の権限など、プロダクトオーナーにどの程度委ねられたのでしょうか。
【A3】全体の方向性は、部長、室長レベル。機能レベルではGM(課長、係長)が統括プロジェクトの規模よって異なる。

【Q4】アジャイルの失敗のところで、時間軸を取り入れる事が必要と発言されましたが、可能な範囲でもう少し補足解説をお願い致します。
【A4】納期は必要だが、納期と品質、コストでバランスとって、バリューと納期を合わせていくことが重要。開発メンバは納期遅れを優先するが、プロジェクト・マネジャーは3つのバランスを意識しなければならない。

【Q5】アジャイル開発は日本文化に合わないとのことでしたが、日本文化に合うような開発モデルはあるのでしょうか?
【A5】適材適所だと思います。日本の文化にうまくアジャイル適用するのが、Sierの腕の見せどころだと思います。

【Q6】スクラム開発には、スクラムオブスクラムなどもありますが、階層を設けてのスクラムに対するイメージ、コツなどありますでしょうか?
【A6】現場のコミュニケーションを円滑するのが大事。一方、現場を放置せず、見守りといざと言うときのバックアップが大事です。

【Q7】社内独自システムからクラウドの利用に加え、既存のクラウドサービスを利用するという視点もあると思いますが、関連のある会社、例えば他の自動車会社も巻き込みながら、関係者全体の効果のあるサービスを作り上げていこう、という動きはありますか?
【A7】非競争領域に関しては、連携する動きがあります。自工会やOEM間の情報交換は過去からもやっています。その延長で随時相談だと思います。

【Q8】アジャイル開発を進めて行くうえで、組織としての習熟度を上げていく必要があると思います。そのためには、標準化が大事だと思いますが、プロセスやツールの統一は今後進めて行かれるのでしょうか?
【A8】ある一定の統一は実施していくとは思いますが、ガイドレベルで留まると思います。

【Q9】アジャイル開発の例では能力的な不足、スキル不足が大きな要因だったということで、やはり人の問題だったと理解しました。人材育成とても難しい話ですが、どのような人材育成を行っていますでしょうか(アジャイル開発等の手法の進め方に限らず、自社でシステムを構築していくにあたっての総合的な教育について)。
【A9】まず自社の業務をしっかり覚えるのが基本で、現場実習(販売店、工場)や他部署との人事交流を過去からもやっています。その上で、システム開発を段階を踏んで育成しています。ただし、システム規模が大きくなり、社外への委託が増え、分担した結果、ユーザ現場との距離が出ています。あらためてユーザ業務に精通するように、TPS教育でモノと情報の流れが書ける人材育成を始めています。

【Q10】アジャイルプロジェクトについてもプロジェクト管理ツールは採用されていますか?採用に至ったポイントなども教えてください。
【A10】アジャイル界のデファクトスタンダードであるJiraconfluence を選択しています。立ち上がり当初は、社外のアジャイルコーチともつながりを持ち進める必要があるために選択しています。

講師-3:松尾 啓志氏 国立大学法人名古屋工業大学 工学部 情報工学専攻 教授、同大学情報基盤センター長

質疑応答要約

【Q1】電子ワークフローに関して、担当者は全体のサービスの流れを考えさせるための工夫とかはありますか?
【A1】そのサービスの一連の流れに係わっていない人が調査するのが一番効率的だと思います。

【Q2】コロナ問題に直面した今、我々は様々な取り組みに挑む必要があるかと思います。これから多種多様な状況の変化にどのようにインフラを利用しながら情報を共有し、どのようなことに取り組んでいきたいと思っていらっしゃいますでしょうか。
【A2】今後は、対面授業、CMSによる復習問題などを十分に作り込んだ上でのオンデマンド授業、さらには反転授業(事前にビデオを見せた後、授業ではディスカッション中心)の3つを中心に大学教育を組み立てるのが良いと思います。なお一般に教員はCMSの高度な使い方に慣れていないので、センターを作り、ティーチングアシスタントを手当てすることも重要だと思います。

【Q3】プロジェクトマネジメントよりビジネスアナリティクス的な動きが大変だったと理解致しました。大学内でコンセンサスを取っていくにあたり、その辺意識してされていたことなどありますでしょうか。
【A3】トップの決断と、少数の現場の協力者が重要です。ほとんどの人は無関心か、反対のための反対が多いため。

【Q4-1】他の大学と、これら情報基盤を共有するようなことなどは検討されているのでしょうか?
【Q4-2】他の大学との情報共有に関する事例などはありますでしょうか?
【A4】大学ICT推進協議会なので、事例報告はしている。本来は、(国立)大学全体を束ねるクラウド+開発組織を構築し、大学から技術職員などの人を出して、共通部分は共同開発、作り込み部分は独自開発できる体制が望ましいと思います。

【Q5】国として全国学校のICT導入について、重視すべきポイントを教えて頂けませんか?
【A5】導入が目的にならないことが大切です。過度なセキュリティ、過度なコンテンツ制限により結果として使えないシステムになることがまずいです。子供に制限されたシステムを使わせるより、いずれネット社会の荒波にでることを考えると、ある程度危険なところも見せたほうが良いと考えます。

【Q6】学生の受講履歴等の特性と成績の関係等、学力向上のためのビッグデータ分析等についてお聞かせください。
【A6】学力と、学習履歴の解析は、Learning Managementという名前で最近盛り上がっています。ただし、CMSから得られる情報粒度が粗いので、あまり有効な結果は得られていないようです。この分野は、大学受験などの動画配信分野が進んでいます。なお我々のグループおよび、我々のデータを使った業績リストの一部を以下に示します。

 ◇CMSからの学習履歴収集について。
 https://www.nii.ac.jp/csi/openforum2016/track/pdf/20160526_LA1_3_nagai.pdf

 ◇我々(他の研究室を含む)の業績リスト(一部)
 https://www.ssken.gr.jp/MAINSITE/download/newsletter/2012/20120903-edu-1/lecture-02/SSKEN_edu-2012-1_matsuo_presentation.pdf
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I10342186-00
http://www.matlab.nitech.ac.jp/~matsuo/DMSM08-1.pdf

https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&ved=2ahUKEwics5axkYvsAhU2y4sBHUSfAjcQFjAQegQICBAB&url=https%3A%2F%2Fipsj.ixsq.nii.ac.jp%2Fej%2F%3Faction%3Drepository_uri%26item_id%3D196844%26file_id%3D1%26file_no%3D1&usg=AOvVaw06T41NwE7L-crrgqrGFK7w

https://women-academics.web.nitech.ac.jp/search/professor/atsuko-mutoh.html

【Q7】友人類推、引きこもり検知がすごく面白い取り組みと思いました。なかなか理解を得がたい環境でどのようにして革新的な取り組みを実現に持ち込まれましたか?
【A7】データの収集目的を明確化しました。また学生何でも相談室にアイデアを持ち込みました。ある事務の人がヤル気になってくれました。やはりやる気のある人を発見するのが重要ですね。