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【第3回】 アメリカにおけるグローバル・プロジェクトでの出来事

 

PMI日本支部 情報宣伝委員会  野口雄志

 

アメリカ全体を対象とした倉庫拠点の開設と物流改善プロジェクトに参加したのは2004年から2006年にかけてでした。プロジェクト参加メンバーは全体で5社80名ほど、国籍は日本、アメリカ、メキシコ、インド、中国とさまざまな人種で構成されていました。その頃は、中西部のシカゴが勤務地でしたが、このプロジェクトの最初の開設地が南西部のロスアンゼルスであったため、プロジェクトの期間中は月曜日の朝にシカゴを出発し、ロスアンゼルスにてプロジェクト活動を行い、金曜日の夜にシカゴに帰り週末を自宅で過ごして次週に備える日々を過ごしていました。

今回は、そんなアメリカにおけるグローバル・プロジェクトで起こったさまざまな出来事のうち、「モチベーション・マネジメント」について書いてみたいと思います。 

プロジェクトも半年を過ぎたある日、システムのシナリオ連結テストに入った頃でした。システムの不備や設計ミスが続き、課題リストでなかなかクローズされない課題がたまってゆく苦しい状況で、2週間程度の遅れを出している状況でした。

米人のプロジェクトリーダー(私の下で働いていた)が、今日は半日プロジェクト活動を止めて、皆でバーベキューやビーチバレーをしに遊びに行こうとの提案をしてきました。彼の考えでは、今の状態ではモチベーションが落ちるばかりなので、一度リセットの意味で刺激を与えたいのだと言う事はすぐに理解しました。PM(私)は、すぐにチームワークの再構築、別の会社から来ているものの、ほとんどが米国で教育を受けたメンバーが多かった点、疲弊感を何とかしたかった点を考慮し、彼の提案を受け、プロジェクト・オーナーである日系の顧客(日本人)に交渉に出向きました。顧客いわく、何を考えているのか、徹夜をしてでも今の遅れを取り戻さないと日本に進捗を報告できない、そんなことをしたらさらに遅れるだけであるとの見解で、われわれのアイデアは完全に却下でした。プロジェクトチームに戻り、その旨を伝えるとメンバーの落胆の顔……。

その時につくづく感じました、日本のプロジェクトでよくある「気合」と「根性」のプロジェクト推進では、人間の本来の能力は発揮できないのであろう。個体の能力をできる限り引き出し、全体(チーム)の力として推進することが成功するプロジェクトの条件である。モチベーション・マネジメントは、この両方の力を引き出すために必ず必要な能力であると考える。しかもさまざまな形での動機付けが必要です。

結局、その日はPMの独自の判断で全てのプロジェクト・イベントを早々に終了させ、18:00から近くの焼肉店を貸し切りにし、プロジェクト・メンバーで夜半までカラオケも含めた大騒ぎをしました。翌日からのチーム・パフォーマンスが際立って上がったのは、狙い通りでした。