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【第7回】 クラブ活動の運営をPM手法で改善する

クラブ活動の運営をPM手法で改善する

PMI日本支部 理事 片江 有利

背景

私が学生時代在籍していた音楽団体が部員減少からクラブ運営に問題が生じていると聞いて、先輩としてPM手法で運営の改善を図ろうと支援を始めた。

問題の所在

私が在籍していた頃は部員数が100名規模であったが、現在は厳しい練習に耐え音楽を作り上げるということが敬遠されるのか、部員が減少し半数の50名規模となってしまった。それに伴いクラブ運営も上級生である4年生、3年生がさまざまな役職を兼務することとなり、連携がうまくいかず、やるべきことを見落としたり、始動がおくれて慌てたり、スケジュールが遅延したりとトラブルが起きるのを何とかモグラたたきで乗り切っている状況となってしまった。
私が在籍した当時は、すべての役職を4年生がメイン担当、3年生がサブ担当と2名による専任制で運営できたので、マンツーマンでやるべきことを指導され、ともに運営を行うことでノウハウも継承されて運営に問題が生じることは少なかった。
PM的視点で考えれば、この余裕があってノウハウも継承されていた時期に業務マニュアルを作成し、教訓を蓄積しておけば、後輩たちはそれを維持改善しながらクラブ運営をできたであろうと悔やまれる。そこで遅まきながらPM手法を活用してクラブ運営の改革に乗り出すべく、学生諸君の支援を行うことを申し出たところ、賛同を得て改革プロジェクトが始動した。

改革プロジェクトで実施したこと

もともとクラブ運営に苦しんでいた学生諸君もそれなりに各担当が自分の体験を文書化して蓄積しようと受け皿を作ってはいたが、そこに登録されているのは忘備録的なもので体系化されておらず、記入レベルもまちまちであった。
 
そこで2012年は4点を指導した。
 
1. プロジェクトマネジメントの勉強会の開催
勉強会の内容としてはPMBOK® の概説ではなく、PM的に仕事を進めるステップを学生に身近な事例(合コン開催準備から実施や旅行)をもとに考えてもらいながら進めた。
(1) 課題を明確にする
(2) ゴールを設定する
(3) 解決策を洗い出す(仮説レベル)
(4) 解決策を実行するためにスケジュール化する
(5) 役割分担を決める
(6) 実行しながらモニタリングをする
(7) 最終評価を行い、教訓を残す
2. 運営に携わるメンバーを集め、「定期演奏会で会場を満席にする」を目標にやるべきTO-DOリストを議論させ、それをWBS化した。
3. サブの責任者にWBSをもとに実績等を入力することでWBSの問題点を把握、修正させた。
4. このモデルケースをもとに各役職担当者別のWBSを作成させ、責任者、サブ責任者でPMO的に運営できるようテンプレートを提供した。
 
残念ながらすべての役職担当者全員がテンプレートを活用して記録を残すまでにはできなかったが、サブの責任者を始め、PM手法の活用に価値を認めてくれ、継続取り組みの意思表示があった。
 
2013年も上級生の役職者を集め、クラブ運営の基本方針とモデルWBS、卒業生が残した記録等をもとにどのように具体化するかのキックオフ・ミーティングを開催した。
今後も昨年同様
1.  プロジェクトマネジメントの勉強会
2. ワークショップによる昨年とは異なるモデルケース作成
3. 各役職担当の作るWBSの点検、評価
4. 責任者が進捗管理しやすくする、簡易なツールの検討
といった支援を行う予定である。
 

改革プロジェクトの成果

昨年は初年度ということもあって、意識改革が中心であったが、モデルケースのWBSをもとに各役職者がTO-DOリストを作成して、PDCAを回していくことが浸透し始めた。
まだ改革の緒についたばかりではあるが、3年くらいかけて運営マニュアルやそれに基づく運営改善を果たし、時間を効率的に使えるようにして練習に集中することにより、クラブ本来の目的である、質の高い演奏の実現に貢献したい。
またクラブ運営のみならず、そもそもの原因である部員獲得についても、オリエンテーションでの獲得作戦立案はもちろん、高校の音楽団体への働きかけ(練習見学招待や地方演奏旅行への招待等)といった長期的な取り組みも計画したいといった機運が生まれてきている。
またプロジェクトマネジメントの勉強会は学生に好評で、クラブ運営だけでなく就活や卒論作成に活用できるので継続的に活用して欲しいとのリクエストが来ている。

PMI日本支部での応用

PMI日本支部ではアカデミック・スポンサー制度の導入や、GACとの連携強化等教育機関への取り組み強化を図っているが、PMは管理工学の範疇で理科系の学生が学ぶべきものとみられがちである。しかし今回のクラブ運営改善やパーソナルレベルでの就活や卒論作成等「プロジェクトマネジメント的に仕事や作業を進める」ことを文科系学生にも広めることを視野に入れたい。

 

事務局より:

片江理事は、[アリババと15人の盗賊」という男性(おじさん)アカペラ・コーラスグループに所属されており、6月30日には「題名のない音楽会」に出演されました。
以下のコンサートが予定されていますので音楽のお好きな方は聴きにいかれてはいかがでしょうか?
   7月30日(火) エール大学 Whiffenpoofs of 2013 演奏会 賛助出演
 11月24日(日) 第25回リサイタル サントリーホール ブルーローズ(小)
 11月28日(木) 第25回リサイタル サントリーホール ブルーローズ(小) 
 11月30日(土) 第25回リサイタル サントリーホール ブルーローズ(小)
 12月  8日(日) 第25回リサイタル 京都市国際交流会館