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【第11回】 PMI® Global Conference 2013-North America アジャイル関連セッションに参加して

 

2013年10月27日から29日の3日間、米国ニューオリンズで開催された PMI® Global Conference 2013- North America に参加し、事務局プロジェクトとして実施中の「アジャイルプロジェクトマネジメント研究会(準備プロジェクト)」の運営に携わる者として、アジャイル関連のセッションを中心に受講してきましたので、その概要を報告いたします。

PMI日本支部 事務局 三島 邦彦 

アジャイル関連セッション

今回のGlobal Conference では16のフォーカスエリアに分類されてセッションが運営され、そのうちの1つが「プロジェクトマネジメントを通じた組織アジリティ:Organizational Agility through Project Management」で、13のセッションが実施されました。2012年のGlobal Conferenceでも「アジャイルプロジェクトマネジメント: Agile Project Management」はフォーカスエリアとして14ものセッションが実施されましたが、今年もアジャイルへの注目度は高く、さらに大規模プロジェクトへのアジャイル適用に関するセッションが増えていました。(本エッセイの末尾にテーマの一覧を掲載しましたので、参考にしてください)
 
大規模プロジェクトへのアジャイル適用を取り上げたセッションでは、Scaled Agile Framework、Disciplined Agile Development、Large Scale SCRUMなどのアプローチの紹介、複数サブプロジェクトに分かれて開発するケースにおける注意点に関する解説、ポートフォリオレベルやプログラムレベルから開発チームレベルまで階層に分けてKanbanとSCRUMでマネジメントした事例の紹介などが行われました。また、ウォーターフォールとアジャイルを組み合わせたハイブリッド型開発を適用した大規模プロジェクト事例を紹介するセッションのほか、ビジネスバリューの実現にフォーカスしDevOpsを取り上げたセッションなどもあり、たくさんの参加者が熱心に受講していました。
 
セッション全体の印象として、アジャイル開発は定着しており、より多くの領域へ展開されてきている、アジャイルプロジェクトマネジメント技術のみならず、ビジネス目的により近いエンタープライズレベルでのアジリティが重要視されていると感じました。あるセッションでアジャイルプロジェクト経験者を起立させたところ、全体の8割から9割の参加者が立ち上がり、それを大規模プロジェクトでの適用経験者に限っても着席するのはごくわずか、プロジェクトが成功したかどうかをたずねてもそのほとんどが立ったままでした。関係しているプロジェクトをアジャイルだけで実施しているかどうかの質問でようやく、起立している参加者が半数以下になりました。この様子からも、米国ではアジャイル開発がかなり定着しており、プロジェクトの特性に合わせてアジャイルを適用しているとの印象を強く持ちました。

PMBOK®ガイド  - 第5版 ソフトウェア拡張

今回のアジャイル関連セッションには、PMIとIEEE Computer Societyが共同で開発し、今年リリースされた Software Extension to PMBOK® Guide Fifth Edition の紹介が含まれていました。このSoftware Extension(ソフトウェア拡張)はソフトウェア開発環境の特性に合わせたプロジェクトマネジメントのガイドとなっており、これまでソフトウェア開発プロジェクトにおいて、PMBOK®ガイド  で述べられている手法、技法、ツールなどがそのままでは適用し難い場合などへの対応の指針となるものです。ウォーターフォール開発(予測型開発)からアジャイル開発(適応型開発)まで、どのようなプロジェクトでどのようなマネジメントを取り入れるべきかをガイドしているので、ぜひ参照してほしいとの案内がありました。

アンカンファレンス (Unconference)

アンカンファレンスは事前に準備されたプレゼンテーションや講義ではなく、参加者の興味があるテーマについてディスカッションするセッションで、今年から取り入れられたものです。私はAgilityのアンカンファレンスに参加しましたが、80名ほどの参加者で会議室はいっぱいでした。
全体を進行するファシリテーター1名が、セッションの最初に参加者からディスカッションしたいテーマを10テーマ程度ヒアリングし、全参加者の挙手でテーマが以下の4つに絞られました。
  •  非アジャイル環境でのアジャイルプロジェクトのマネジメント
  •  アジャイル プロジェクトにおけるPMの役割
  •  プロジェクトのタイプとアジャイルアプローチの関係
  •  アジャイル環境でのコミュニケーションツール
日本でもアジャイルの関心事として同様なテーマに興味を持たれる方が多いと思いますが、ここでコミュニケーションツールがディスカッションのテーマとして選ばれたのは、米国内の大規模プロジェクトでチームが分散して開発するケースが多いからではないかと推測します。
その後、参加者は4つのグループに分かれ、グループごとにテーマが1つ割り当てられて、ディスカッションを開始します。限られたスペースで椅子だけの会場なので、各グループは会場内で輪を作って集まり、立候補したファシリテーターがディスカッションをリードしながら、フリップチャートに発言をまとめます。10分ほどディスカッションすると、ファシリテーターがそれまでのディスカッション内容を記録したフリップを持ってグループ間を移動、各グループは4つのテーマすべてをディスカッションしました。(皆さんがよくご存じのワールドカフェ方式ではファシリテーターがテーブルに残って参加者がテーブルを回りますが、今回のアンカンファレンスではスペースが限られていたため、ファシリテーターが巡回しました)。
1時間にわたるセッションの最後で、4名のファシリテーターがテーマごとのディスカッション内容を披露し、情報を参加者全員で共有しました。

最後に

今年のアジャイル関連セッションの受講から強く感じたことは、アジャイルとは「マインドセット」だということです。SCRUMやKanbanなどのアジャイルの技法を適用すること、つまり「Do Agile」はもちろん大切ですが、それ以上に、各自が「ありたい姿」をまず考え、置かれているビジネス環境下で「Be Agile」であることが重要です。
皆さんもアジャイルプロジェクトマネジメントの基礎を学び、担当している日々のプロジェクト遂行を改善すべく、アジャイルの考え方やプラクティスを少しずつでも取り入れてみませんか?

おまけ1: 2014年度アジャイルPM研究会の活動について

2013年1月、PMI日本支部の部会活動の1つとして、アジャイルプロジェクトマネジメント研究会(準備プロジェクト)が活動を開始し、メンバー間でプロジェクト事例などの情報を交換したり、アンカンファレンスのように関心の高いテーマを選んでディスカッションを行ったりしています。
2014年度も事務局プロジェクトとして運用し、支部会員以外の方もメンバーとしてご参加いただけます。月例ミーティングでの情報交換のほか、読書会やイベントキャラバンなどの活動も実施していますので、アジャイルプロジェクトマネジメントに興味のある方はぜひご参加ください。

おまけ2: 会場風景 (セッション会場の写真はありません (^^ゞ )

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とにかく広いコンベンションセンター
朝食会場はこの突き当りって、、いったいどこまで歩くの…
コーヒーブレイクタイムの謎のおやつ
甘い豆?のペーストに生人参のスティックが…
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今日のお勉強タイムはおしまい!
みんなそろって懇親会会場への大移動
バンド演奏で盛り上がっています
のりのり懇親会

参考: Global Congress 2013 のアジャイル関連セッションテーマ

Organizational Agility through Project Management (AGL)
 (Tools, techniques and case studies for improving organizational agility, including agile methodology and other approaches)
 
・Success with Agile in Federal Environment  
・The Software Extension to the PMBOK® Guide
・Be a Product Owner...Like Steve Jobs  
・Driving Strategy: How Leading Companies are Enabling Innovation  
・Portfolio Alignment Wall: A Management Tool for Agile Program Management  
・Unlocking the Black Box to Sustainable Organizational Agility  
・Gaining Competitive Advantage through Reducing Project Lead Times  
・The Real Problem with Your Portfolio: Multitasking?  
・Big Agile: It's Not Just for Small Projects Anymore  
・Swimming Up the Waterfall, Agile Processes in a Waterfall World  
・Transitioning to Agile: Ten Success Strategies  
・ITILity: Delivering Business Value via the Nexus of Lean-Agile and IT Service Management  
・Accelerating Outcomes with a Hybrid Approach within a Waterfall Environment