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【第14回】 教育とプロジェクトマネジメント

 

私は現在PMI日本支部で、災害復興支援プログラム・メンバーとして活動しており、昨年は南三陸町での支援活動にも参加しました。現在は東北6県ROLLプロジェクトPMI日本支部ソーシャルPM研究会活動などに関わっています。
今回はこれらのプロジェクトについてではなく、私が日頃関わることの多い「教育とプロジェクトマネジメント(PM)」の話を書こうと思います。

PMI日本支部災害復興支援プログラム・メンバー
株式会社インクルージョン代表取締役、IRIヘルスケア研究所所長
杉村寿重、PMP 

 

 私は、会社の仕事とは別に10年前から、川崎市教育委員会の委員を務めています。社会教育委員から始まり、生涯学習情報システム運営委員、社会教育協議会監査役、そして現在は教育改革推進協議会委員として川崎市の教育プラン計画の策定に関与しています。そのような経歴があることより、8年前から、個人活動として行政職員や大学(女子大および共学)、そして市民団体や小学校・中学校でプロジェクトマネジメントを教えてきました。
 
 その結果として、かつてPMI日本支部理事だった清水計雄さんが設立されたNPOプロジェクトマネジメント・インキュベーション協会(通称PMAI)より誘いを受け、中高一貫校として恐らくは日本で初めてと思われる、芝浦工業大学中学高校へPM教育導入時(2009年)から関わっています。PMI日本支部でも初等教育や中等教育へのPM導入をされているようですので、これらの経験を活かして貢献したいと思っています。
 
 このように多種多様な人々にPMを教えていると、システム開発業務としてのPM活動では味わえない発見もいろいろあったりします。そこで私は、既存のツールは使わない、オリジナルで相手方の要求に合わせた内容を作って教育を提供してきました。女性が聞き手の場合には、結構ディスカッション授業で行うのが受けますが、中高生などには100均で売っているような身近なものを使った、ものづくりのPM的計画実行の体験がウケます。そして、ものづくり体験型は意外と企業のリーダー研修でも好評です。小学生にはコミュニケーション遊びをベースに行うことで、抵抗感なく学んでもらうことができます。全ては工夫次第で、多様な老若男女にPMを教えてきました。過去8年間PM教育をやってきた中で最高齢者は、川崎市行政書士会でやらせていただいた80歳!の御仁で、恐らくここまで幅広い年代(小学生から80歳まで)をカバーしている講師は、少なくとも日本では私だけではないかと思います。
 
 現在の私の会社は医療福祉系をターゲットに、さまざまな研究開発の仕事をさせていただいておりますが、その中で昨年、顧客の病院にPM研修をご提供しました。医師、看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士、作業療法士、放射線技師、医療ソーシャルワーカー、臨床心理士・・・等々15種類の職種の方々にPMBOK®の知識を学んでいただくものです。プロジェクト憲章作成から始まって、計画書作成やステークホルダー分析などを、日常風景のエピソード(引っ越し、旅行など)をケースとして使用した体験型で学んでいただきました。修了後のアンケートには、「自分のプロジェクトと合わせて考えて行くことができて理解しやすかった」「体験形式だったので感覚として理解できた」「段取りを具体的に見える化できる」「順序良く納得の行く説明でテンポ良く、笑いもあり楽しかった」「看護研究にも使えると思った」・・・などがありました。
 
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 このことから、病院という多種多様なプロフェッショナルから構成される集団に代表される医療業界にも、共通言語としてのPMBOK®のようなプロジェクトマネジメントを導入する価値が十分にあると言えるでしょう。医療スタッフの方々には、普段と違う物事の考え方に、戸惑いよりも有効性を感じていただいたようです。この病院では通常業務以外に30を超えるプロジェクトが常時走っていますが、現在ではリーダー以上の全員がWBSを使用できるようになりました。院内に確実に定着しつつありますので、今後の医療現場の改革に期待したいと思います。
 
 これからも今まで同様に、日本の社会を良くするための教育や、ビジネス貢献を続けて行きたいと思っています。
 
2014年2月