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【第25回】 プロジェクト・マネジャーとしての働き方

 プロジェクト・マネジャーとしての働き方
~ 「家庭」と「仕事」と、そして「3つ目の場所」 ~

女性PMコミュニティー WomenOBF
橘 郁子

はじめに

 このリレー・エッセイを読まれている方は、プロジェクト・マネジャー(もしくは何らかの形でプロジェクトに携わっている方)だと思います。決して楽な仕事ではないと思いますが、皆さんは自分自身の働き方についてどう考えていらっしゃるのでしょうか?
 
 私自身は、IT企業に入社し、その後同じ会社でプログラマーやシステムエンジニア(SE)を経て、現在はプロジェクト・マネジャーとして働いています。長年自分の「働き方」に大きな疑問を持つことなく働いてきた、つまり長時間稼働や単身赴任など「仕事優先の価値観」を受け入れてきました。
 
 ですが、ここ数年、あきらかに働き方の価値観が変わりつつあることを感じています。

ひたすら働いたあの頃

 私の就職当時(30年前)は、「男女雇用機会均等法」はできたものの現実の採用条件を見ると男性と女性を別枠(「総合職」など)で扱っている企業が多く、男女同一の採用条件・給与である企業はまだまだ少数でした。その中で「システムエンジニア」という職種は、それ自体がまだめずらしく、学部や男女を問わず多くの学生を採用していましたから、「四大卒・文系・女子」の就職先として非常に魅力的に見えました。
 
 就職後、プログラマーやSEとして働きましたが、確かに若いうちは社内における男女の扱いに差はあまりなく、皆ただひたすら働いていました。周囲は9割が「理系男子」、女性は1割。理系男子はとにかく仕事に熱心で、「3日連続徹夜した」「1カ月家に帰っていない」「年間の休暇が2日」などの自慢話(?)が飛び交う日々。部長職になるぐらいの年齢でも独身の方が多かったと思います。3Kという言葉が使われだしたのもこのころでしょうか。
 
 しかし世間から何と言われようと、当時の現場のSE自身はそう悲観的でもなく、市場の拡大に伴って若い人が多い職場には、チームで協力してシステムを作り上げる喜びや情熱は確かにあったと思います。マネジャーもやはり技術者の一員であり、メンバと一体となってシステム開発を行っており、「ステークホルダー」「リスク」といった言葉はまだ一般的ではありませんでした。

「プロジェクト・マネジャー」の働き方

 「プロジェクトマネジメント」「プロジェクト・マネジャー」という言葉が認知され始めたのは、やはりPMBOK®ガイド  によるところが大きかったと思います。私はPMBOK®ガイド  を2005年頃に知りました。ちょうど主任から管理職への昇格候補となる時期でしたので、PMP® 資格が有効と思い取得しました。
 
 私自身の経験から、今のIT企業におけるプロジェクト・マネジャーは「専門職としてのプロジェクト・マネジャー」と「組織の管理職」との区別が明確でなく、両方の責務を持たされており、非常に責任範囲が広くかつ重い状況にあると感じています。
 
 「専門職としてのプロジェクト・マネジャー」として、お客さまを担当し、プロジェクト遂行をしつつ、一方で「組織の管理職」として部門の予算遂行、事業拡大、要員育成を行います。「これってありなのか?」と思いつつも、実際に自分自身でお客さまやプロジェクトの現場を知らないと、将来を見据えた組織運営もできません。プロジェクトがうまくいかなくても、社員が体調をくずしても、全ての管理責任を問われ、「原因の分析」と「対策実施」を求められます。
 
 もちろん、どんな職業にも何らかの厳しさは必ずあり、その反面で楽しさややりがいを感じる面もあるのですが。

これからどう働くか? 「家庭と、仕事と、3つ目の場所」

 さて2年前、ご縁があって、PMI日本支部の研究会の1つである「女性PMコミュニティー WomenOBF」に参加させていただくことになりました。私にとっては、家庭でもなく、仕事でもなく、「3つ目の場所」です。最初は仕事上のスキルアップの1つとして考えていたのですが、なかなか奥が深く、今回のように私自身の「働き方」を見つめなおすきっかけとなりました。
 
 ここWomenOBFでは、「誰かのお母さん」や「会社の肩書」ではなく、個人としての行動や考え方が問われます。長年会社の肩書で動いてきた私にとっては、まずそれが新鮮でした。そして自分自身を個人として考えるとともに、それまで私の周囲にいた人たちについても個人として存在しており、それぞれの価値観があることに気が付きました。
 
 今の私は、すでに会社における残された期間も10年を切っており、自分自身がプロジェクトの前面に立つというよりも、「後継者をバックアップする、育成する」という立場になってきました。また家庭においては、3人の子どもたちも成長し、独立して自分の生活を築いていくことが見えています。
 
 最近は「プロジェクト・マネジャー」という仕事を楽しい魅力的なものにしたいと思い始めました。それを実現するのは、私一人の力ではなく、WomenOBFのメンバとともに、また今後出会うかもしれない方々と共に、と思っています。

おわりに

  「ワーク・ライフ・バランス」という言葉が浸透しつつあり、「家庭」と「仕事」のバランスが必要であるということは皆さんご認識されていると思います。 そこにもう一つ「3つ目の場所」を作ることで、さらに自分の世界が広がります。  
 
  忙しい「プロジェクト・マネジャー」の皆さんにこそ、ぜひお勧めしたいと思います。
 
以上

 

参考:
 女性コミュニティー WomenOBF からの発信情報