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【第26回】 「プロジェクト・マネジャー」として働いて思うこと

「プロジェクト・マネジャー」として働いて思うこと

女性PMコミュニティー WomenOBF
上田 純子

はじめに

 今回のリレー・エッセイは、プロジェクト・マネジャーをキャリアの選択肢の1つとして考えている皆さんに「プロジェクト・マネジャーにもっと興味を持ってもらいたい」という思いで執筆しました。
 
 私は入社後14年目で、プロジェクト・マネジャーを担当することになりましたが、それまでは、スペシャリストとして働いていました。金融機関向けのSIでシステム開発、構築の専門知識を培い、お客さまに技術力を提供することが第一と考えており、また、会社にとってもそれが貢献と考えていました。
 
 ところがプロジェクトではたびたび予期しないことが発生します。スコープどおりにコントロールできていたと思っていても、作業遅延や作業順序の組み換えをすべき事象は発生するのです。ものごとの優先順位付けを考え、プロジェクトを取り巻くステークホルダーに対する報告や説明なども必要となります。プロジェクト・マネジャーを担当することになってからは、プロジェクト全体を俯瞰することを意識し始めました。
 
 「プロジェクト・マネジャーという職種は、スペシャリストでなくゼネラリストとしてあるべきである」とよく聞きますが、まさにそのとおりです。「プロジェクトをうまく進めるために、どのように工夫すべきかを絶えず考える」ことは、まさにゼネラリストとして対処すべきことなのです。
 
 ゼネラリストとしてのプロジェクト・マネジャーを目指したきっかけと、そのために心がけたこと、それぞれ3つを以下でご紹介します。

プロジェクト・マネジャーになるきっかけ

 入社2,3年目の時から、プロジェクト・マネジャーの職種に興味を持っていましたが、プロジェクト・マネジャーになることを、自分のキャリアパスの第一希望として決意したのは以下のようなことが、きっかけでした。
  • 1つ目のきっかけ:

プロジェクトで一緒に働く先輩に、優秀と言われていたプロジェクト・マネジャーがいました。彼は、プロジェクトマネジメント以外にも、美しくバグの少ないプログラムを開発し、PMOとしてのプロジェクト推進作業をそつなくこなし、プロジェクトの現場で右に出る人はいませんでした。

プロジェクトマネジメントという面でも、ステークホルダーとのコミュニケーションのとり方、リーダーシップのとり方、そして後輩、お客さまへのフォローの仕方などは、模範となり、誰の目から見ても参考になる人でした。

当時は、「いつか私もあのように、他人から模範とされるようなプロジェクト・マネジャーになりたい」と切実に感じていました。そして、先輩をロールモデルとし、先輩の持つスキルをひとつひとつ身につけ、PM力を磨こうと思い始めました。

  • 2つ目のきっかけ:

私は、上司、先輩から「PMとしての素質はある」と、よく言われました。

最初は、なぜそう言われるのかわかりませんでしたが、自己分析をすると「前向きで向上心がある」、「度胸がある」、「『怖いもの知らず』である」というところが目に付いたのだと思います。

確かに、自分でも前向きであると思っています。幾度となく失敗し、落ち込むこともありますが、「現実として受け止め、反省をし、次に起きないようにすればよい」と自分自身でコントロールしているところです。

失敗してドンヨリした時にこそ、皆を前向きに引っ張っていきたいと思うし、1つ1つ確実に積み重ねれば、人がついてきてくれると信じて行動しています。

  • 3つ目のきっかけ:

プロジェクトをつくるのは「人」です。さまざまな考え、プロジェクトに対する思いを持った人たちで構成されます。

私は子供の頃から、人と関わることが好きであり、人の役に立ちたいという思いが強かったので、人の手助けをすることが自分のモチベーション向上につながります。そのことから、プロジェクト・マネジャーは最適な職業と思うようになりました。

以上のように、人との関わりはどんなに小さなことでも大切と思うようになり、自分もプロジェクト・マネジャーを志すことになりました。

プロジェクト・マネジャーになる前にやるべきこと

 プロジェクト・マネジャーとしてのノウハウはPMBOK®ガイド  に書いてあるとおりですが、自分としてプロジェクト・マネジャーになるための基盤づくりとして、心がけていることがあります。
  • 1つ目のやるべきこと: 「自分の強みを持つこと」
プロジェクト・マネジャーとは、人に信頼してもらうことが第一です。信頼してもらってからこそ周りが動いてくれる職業です。自信を持って人に接するためには、誰にも負けない自分の強みを持つことだと思っています。
 
私にとって自分の強みは、システム構築スキルであると思っています。このスキルがなければ、お客さまに最適なソリューションを提供できません。したがって、システム構築スキルを現場にてしっかりと身につけ、自信を持てるようになるまではプロジェクト・マネジャーに転向すべきではないと考えていました。10年以上をスペシャリストとして経験し、ある程度自信を持ったので、次のチャレンジとして、プロジェクト・マネジャーを目指しました。
 
私は、プロジェクトのインフラ構築とプロジェクト推進を経験したので、この技術力を軸にマネジメント力を発揮できれば、他人からもロールモデルとされるようなPMになれると思いました。
 
自分の強みを持てば、プロジェクト現場で役に立ち、自分の自信につながります。若手の方は、早くから自分の強みをどこに持たせるかをよく考え、自己を鍛えてほしいと思います。
  • 2つ目のやるべきこと: 「柔軟に対応すること」
プロジェクトは絶えず動くものです。プロジェクト・マネジャーは、他の人が働きやすいようにふるまい、先行して動かないといけません。
 
品質、コスト、納期のバランスが崩れると、その中でできる最善の策は何かを意識的に考えないといけません。そして、プロジェクトに参画するメンバー各自が何を考えているのかを組みとりながら、最適な判断をする必要があります。
 
自信を持って決断し、柔軟に対応する力を身につけることが必要です。
  • 3つ目のやるべきこと: 「お客さまの視点で考えること」
私は参画したプロジェクトで、お客さまとのコミュニケーションを大切にしました。特に注力したのはお客さまの視点でものごとを考え、的確に対応することです。
 
この行動を1つ1つ積み重ねれば、お客さまとの信頼関係を築くことができます。自分自身、それが感じとることができた時には、モチベーション向上につながりました。

最後に

 プロジェクト・マネジャーは決して楽な仕事ではないと思いますが、得るものが大きく、魅力的な職業です。経験してあらためて思いました。少しでも多くの人に、プロジェクト・マネジャーは魅力的な職種であると感じてもらえるように願って活動しています。
 
 私は、2014年からPMI日本支部のWomenOBFに参加し、ワークショップやアンケート結果をもとに、男性と女性の得意・不得意分野を分析し、働きやすい職場環境づくりのアイデアを考えています。
 
 WemenOBFには現場で活躍されている女性PMの皆さんがたくさん参加されています。もし、あなたがプロジェクト・マネジャーを目指す女性ならWomenOBFに参加してみませんか。ロールモデルとなる先輩PM、女性PMとしての悩みに的確なアドバイスをしてくださる先輩PMがきっと見つかるはずです。
以上

 

参考:
 女性コミュニティー WomenOBF からの発信情報