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【第29回】 グローバルプロジェクトとダイヤモンド・アプローチ

 

PMI日本支部 法人スポンサー
グローバルPMスタディーグループ
深井 弘志

はじめに

 本年度、グローバル・プロジェクトマネジメント・スタディーグループで行われた「REINVENTING PROJECT MANAGEMENT」の輪講に参加した。その本では「ダイヤモンド・アプローチ」という新しいプロジェクトマネジメント・アプローチが提唱されていた。その内容を要約すると、次のとおりである。

ダイヤモンド・アプローチ

 現在、ビジネス活動の多くはプロジェクト的なものとなっており、プロジェクトマネジメントの重要性はますます高まっている。そして、プロジェクトの成功は、単に当初のプロジェクト計画通りにQ.C.D.(品質、コスト、納期)の各指標を達成したかどうかだけでなく、そのプロジェクトによってもたらされた成果がビジネス上の価値を提供できたかどうかで評価されるようになっている。従来のプロジェクトマネジメントの管理対象に加えて考慮すべき要因が、プロジェクトの特性によって変わることがわかってきた。その特性を評価するためのフレームワークとして、「ダイヤモンド・アプローチ」を提唱する。

 「ダイヤモンド・アプローチ」は、Novelty(新規性)、Technology(技術)、Complexity(複雑性)、Pace(緊急性)の4つの指標を軸としてプロジェクトの特性を評価し、それに最も適したプロジェクトマネジメント・アプローチを適用することによって、不確実性や複雑性の高いプロジェクトであったとしても、それを成功に導くことのできるマネジメント・フレームワークである。「ダイヤモンド・アプローチ」で評価したプロジェクトの特性いかんでは、当初のプロジェクト計画に過度に縛られることなく柔軟なマネジメントが求められ、不確実性や複雑性の高いプロジェクトであればあるほど、その傾向を強める必要がある。

 筆者が属する組織においても、さまざまなプロジェクトが展開されている。それらはグローバルに時間と場所を超えた顧客や取引先などの外部ステークホルダーを巻き込んだもの等(複雑性が高い)、さらには新市場における製品開発プロジェクト等(新規性が高い)、その様相は、ますますプロジェクトマネジメントを困難なものにしているように思われる。しかしながら、プロジェクトマネジメントの視点で観察すると、いまだ、当初のプロジェクト計画をいかにその通りに遂行し、当初に定められた仕様を、予算内に、期限までに実現するか、という点に焦点があてられている。そもそも、プロジェクトをマネジメントするべき責任者に、プロジェクトがもたらすビジネスの成果まで考慮に置いた権限を与えられていないのが実情ではなかろうか。

おわりに

 今回のスタディーへの参加で思うことは、まず、ビジネスを推進する組織全体としてプロジェクトとその成功に対する認識自体を変革させること。次に、プロジェクトをマネジメントするものに、これまで以上の裁量を与えて責任を持たせ、ビジネスの成果に直接的に貢献させること。そのためには、プロジェクトをマネジメントするものの力量を、明確なビジネス目標を持つリーダーとしての資質を求めるようにすること。そして、組織全体が、そのようなプロジェクトマネジメントを養成できるような環境を提供できるようにすること。「ダイヤモンド・アプローチ」を活用することは、そのような取り組みに大きく貢献する可能性があるのではないかと思う次第である。

 

(事務局より)PMI日本支部 法人スポンサー グローバルPMスタディグループ のご紹介 

 グローバルPMスタディーグループは2013年1月から活動を開始したスタディーグループで、グローバルプロジェクトに関心を持つ PMI日本支部 法人スポンサー企業に所属するメンバーから構成されています。昨今のビジネス環境でグローバルプロジェクトが増加、多様化する中、グローバルプロジェクトを成功に導くプロセスやコンピテンシーなどについて研究することが目的です。国内外のゲストを招いてのセミナー、洋書や海外の論文を題材とした勉強会などの活動を行っており、関連書籍の翻訳出版を実現したメンバーもいらっしゃいます。
 法人スポンサー企業に所属されている皆さんのなかで、グローバルプロジェクトのマネジメントにご興味のある方のご参加をお待ちしております。