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【ソーシャルPM実践ワークショップ2017】開催報告「ソーシャルPM紹介セミナー」

『ソーシャルPM紹介セミナー』

ソーシャル・プロジェクトマネジメント研究会 大小田 恵子、福澤 進

 2017年7月1日(土) にPMI日本支部 セミナールームで『ソーシャルPM紹介セミナー』を開催しました。当日の様子と成果をご報告いたします。

セミナーのテーマ

 「ソーシャルPM実践ワークショップ」全6回シリーズの概要をご紹介するセミナーです(過去に第1回『ソーシャル・デザイン思考実践』、第2回『ソーシャル・ベネフィットマネジメント』を開催)。

 ソーシャルPM研究会では、現場体験期、研究開発期を経て、ソーシャル課題解決プロジェクトに適したPM手法の開発と普及につとめています。
 今回は、ワークショップ全体のご紹介とワークショップ体験を組み合わせた半日コースです。
 本セミナーの学習目標は、以下の3点でした。
 ①ソーシャル課題の解決に、「ソーシャルPM(プロジェクトマネジメント)」が必要であることを理解できる
 ②ソーシャルPM実践ワークショップが実践力を高める機会として、有効であることを理解できる
 ③「ソーシャルPM」手法の中で 要となる「ソーシャル・デザイン思考」の演習の体験を通じて、ソーシャルPMを実践できることを認識する
07-01@13-33-52-8.jpg高橋理事よりご挨拶

前半(講義)の概要と学び

 ソーシャルPM研究会の石塚 幸夫講師から、「ソーシャルPM (プロジェクトマネジメント)の必要性」を説明しました。
 そのポイントは以下のとおりです。
 ①   ソーシャル課題とは、広範囲に影響を与える普遍的な問題・課題である
 ②   多様な課題が複雑に絡み合う「深い森に道をつくる」ようなプロジェクトであり、以下の6つの特徴があるため、それに対応できるフレームワークが必要である

● ニーズ把握とゴール設定が困難
● ステークホルダーが様々である
● プロジェクトの成果が見えにくい
● 思い通りに進まない
● 優先順位が付けられない
● 持続可能性に問題がある

 ソーシャルPM研究会では、これらの6つに対応した全6回のワークショップを用意しており、そのコース概要も説明しました。昨年既に全コースを実施しているのですが、今年のコースではさらに新しい手法を取り入れブラッシュアップしています。

07-01@13-39-09-765.jpg講義の様子

後半(演習)の概要と学び

 ソーシャルPM研究会の佐分利淳雄 講師のリードで、6コースの中でも要となっている「ソーシャル・デザイン思考」に関する演習を行いました。
 一般的に人間の脳は5%の意識的活動と、95%の無意識的活動に分かれていると言われており、単なるヒアリングだけでは5%の部分のニーズしか引き出せません。その問題を解決し、言葉に出来ていない95%部分のニーズをとらえ「インサイト」を共有し、それを元にアイディアを構想・検証するサイクルを繰り返していくのが「ソーシャル・デザイン思考」のフレームワークです。
 今回の演習では「インサイト」を共有する部分までを『ペルソナ』、『カスタマー・ジャーニー・マップ』、『3つのゴール』の3種類のツールと技法を使って体験していただきました。
 最初の『ペルソナ』とは、ソーシャル課題にとって最も重要で象徴的なユーザーモデルを具体的に構築することで、プロジェクトメンバー内でのイメージを共有する手法です。今回は『震災体験』をテーマに、事前に用意した『ペルソナ』を理解いただき、この『ペルソナ』の震災体験をもとに、『ペルソナ』がどの時点でどのような感情を抱いたと思うか、付箋に書き出していただきました。

07-01@14-31-33-450.jpg演習の説明 07-01@15-41-15-225.jpg

『ペルソナ』や震災時の写真を参考に感情を抽出する演習

 さらに、模造紙にその付箋を貼りだしてグループで『カスタマー・ジャーニー・マップ』を作成していただきました。『カスタマー・ジャーニー・マップ』は、『ペルソナ』がどのような局面でどのような感情を抱いたか、その感情に影響を及ぼした人・場所・設備等(「タッチポイント」)も含めて図示し、より深く『ペルソナ』を理解するための手法です。

 今回の演習では、資料に明記されていない部分の解釈がグループごとに異なり、少しずつ異なるマップが出来上がりました。

07-01@15-57-22-932.jpgカスタマー・ジャーニー・マップの作成

 次にグループで『3つのゴール』を作成していただきました。『3つのゴール』とは、ペルソナが「どのような結果を得たいか」(エンドゴール)、「どのような気持ちになりたいか」(エモーショナルゴール)、「どのような自分でありたいか」(ライフゴール)、の3つの観点でペルソナの潜在的欲求を理解するための手法です。

 最後に、各グループが導き出した3つのゴールとその過程を発表しました。

123.JPG3つのゴール 07-01@16-54-15-537.jpg発表

受講者コメント

 以下、ワークショップへの参加者からいただいた声の一例をご紹介します。

  • (特にソーシャル・プロジェクトで)要件や要望をまとめていくときに、カスタマー・ジャーニー・マップ、3つのゴールはとても有効なフレームワークだと思った。。
  • 不確実性があり流動的な活動においてのPMの考え方が役に立ちました。これからもっと手法は勉強していかなければいけないと思っていますが、基礎的な考え方はすぐにでも役立つと思いました。
  • さまざまな背景の人が参加されていることがわかり、広く使えるのだな、と感じた。また、皆さんがどのように使っているかも興味が湧いた。
  • 今後、社会貢献に携わりたいと考えており、今後どのような方面のスキルや活動をしていけば良いかの指標となった。
  • 社会貢献を仕事にしようと考えている中、体験ワークショップは、社会の問題をどう解決するか、参考になりました。

 今回の参加者の中には、ソーシャルPMに関心がある方や既にソーシャルPMに取り組んでいる方が多かったのですが、「今回のセミナーは、参加された動機を満足させるものでしたか?」というアンケートに対しては、回答者全員に「はい」と回答いただき、高く評価をいただいたと考えています。

おわりに

  次回は、8月26日 土曜日に、ソーシャルPM実践ワークショップの6回シリーズの3回目 『ソーシャル・ポートフォリオマネジメント実践』 を開催します。企業のCSR担当者、およびNPO等の社会活動担当者を対象に、共通価値を創造し、社会貢献で経済価値も高めるCSV経営についてご紹介します。