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PMBOK®ガイド 第5版紹介シリーズ 第3回  ステークホルダー・マネジメント

PMBOK®ガイド  第5版 紹介シリーズ
第3回 ステークホルダー・マネジメント

PMBOK® 委員会
山本 雅也

(1) あなたのプロジェクトが成功する理由は何だと思いますか

 プロジェクト・マネジャーは、自ら積極的にコミュニケーションをとり、協力者を増やしてプロジェクトを遂行する必要があります。なぜならば、プロジェクトではさまざまな課題が発生します。プロジェクト・マネジャーはこれらを適時解決しなければなりませんが、そのためには顧客を含めたステークホルダーと多くの交渉や調整を進めなければなりません。そのときステークホルダーの真意を事前に把握しておくことや、良好な関係づくりをしておくことが大切なのです。

 あなたのプロジェクトでは、ステークホルダーがプロジェクトに積極的に参加しているでしょうか? グローバルなプロジェクトや複雑なプロジェクトでは、多様なステークホルダーが増えたりプロジェクトへの参加意識が低いメンバーが増えたりすることがあります。そのような状況におけるプロジェクト・マネジャーは、ステークホルダーと良好なコミュニケーションをとり、協力者や支持者になってもらう努力が欠かせません。

 また、あなたは顧客の要求を確実に引き出せているでしょうか? 顧客要求を明確にしないままプロジェクトを進行させ、追加要件が後から続々と提示され、泥沼化するようなケースがよく見られます。そんな状況を未然に防ぐためには、プロジェクト・マネジャーはステークホルダーと良好な関係を築き、さらにステークホルダーとともに隠れた要求事項の引き出しや要求事項の明確化および詳細化を行う必要があります。

 特に、環境を刷新するようなプロジェクトでは、異なる意見をもつステークホルダーが存在し、ステークホルダー間の衝突が発生するケースがあります。このような状況では、プロジェクト・マネジャーは考え方が異なるステークホルダーの意見を積極的に聞きながら進める必要があるので、人間関係を築くためのスキルを磨かなければなりません。

(2) PMBOK®ガイド 第5版へのステークホルダー・マネジメントの適用

 2012年12月に公開されたPMBOK®ガイド 第5版では、第4版でコミュニケーション・マネジメント知識エリアの中に含まれていたステークホルダー・マネジメント関連の内容が10番目の知識エリアとして拡張、移動されました。

 “ステークホルダーのニーズについての計画とマネジメントを行い、意思決定等にステークホルダーを適切に関与させることがプロジェクトを成功に導く重要な要素である”という背景から、ISO 21500が「ステークホルダー・マネジメント」を定義したことを踏まえ、PMBOK®ガイド  第5版でもそれと整合をとることになりました。

 知識エリアの新設は1996年に発表された第1版以来初めてのことです。ステークホルダーのニーズと期待を満たすためには、継続的な対話や課題への対応等を行わなければなりません。そのためにプロジェクト・マネジャーは、ステークホルダーへ積極的に働きかける必要があり、ステークホルダーと良好な人間関係を築く人間系のスキルも求められます。

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(3) PMBOK®ガイド 第5版におけるステークホルダー・マネジメント・プロセス

  「ステークホルダー・マネジメント」という名称からは、「ステークホルダーを管理する」という意味に捉えられがちですが、そうではなく一つの概念として理解することが求められています。

 PMBOK®ガイド 第5版では、10章のコミュニケーション・マネジメント知識エリアから移動された「ステークホルダーの特定」プロセスと、第4版の「ステークホルダーの期待のマネジメント」プロセスの内容に加え、「ステークホルダー・エンゲージメント・マネジメント」と「ステークホルダー・エンゲージメント・コントロール」のプロセスが追加されました。「エンゲージメント」は、ステークホルダーの関与や関わり合いなどを表す用語ですが、一言で表す簡単な日本語がないのでカタカナされています。要するに、プロジェクトへのステークホルダーの関わりについてマネジメントしたりコントロールしたりして、プロジェクトを成功に導くことです。

以上

 
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以上

当連載の他の記事へのリンク

  第1回 イントロダクション
  第2回 ISO21500について
  第3回 ステークホルダー・マネジメント
  第4回 ナレッジ・マネジメント
  第5回 アジャイル型ライフサイクル
  第6回 プログラム、ポートフォリオ
  第7回 スコープ・マネジメント
  第8回 タイム・マネジメント
  第9回 リスク・マネジメント
第10回 統合マネジメント
第11回 PMBOK®ガイド は使えるのか
第12回 PMBOK®ガイド 拡張版