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【感染症対策下のPM】Vol.7 大学の遠隔授業導入の実例から学ぶ

感染症対策下のPM

Vol.7. 大学の遠隔授業導入の実例から学ぶ

PMI日本支部からの短期集中連載第7弾です。

今回は 山本 智子 PMI日本支部理事(川崎医療福祉大学 医療福祉マネジメント学部医療秘書学科 教授)からのレポートです。

今回のCOVID-19の感染拡大は、教育現場にも大きな影響を与えています。

これまで学校教育は、通信教育制を除きすべて対面授業で行われてきました。しかし、休校が長期化する中、大学では遠隔授業を導入して対応を開始しています。私の勤務する地方大学でも、5月から開始しています。学生も教員も約1か月間でこのような変革を受け入れざるを得ないことになり、現場が混乱しているのは事実です。

そこで、本日は現場の状況やわかったことをまとめてみました。

1.リスクマネジメントの不十分さ

大学では、履修登録、出欠管理、成績管理、学生への連絡等はすべてインターネットに接続された学内システムで運用しています。また、Moodleを活用した講義も行われています。スマートフォンは学生全員が所持しており、また学内のパソコンが自由に使用できるため、この体制で問題はありませんでした。

しかし、すぐに遠隔授業に切り替えるまでには環境が整っていませんでした。一部の学生への調査結果ですが、遠隔授業での使用機器はパソコン(7割)、スマートフォン(3割)、タブレット(1割)、自宅や下宿でプリンターがない(2割)、インターネット回線速度は5~300Mbpsでした。日頃、対面授業ができないことが起こることなど、想定したことがありませんでしたので、まったく対応ができていませんでした。

2.即時対応型の組織変革

今回の遠隔授業開始には、「学習機会を平等に提供できる」ように、あわせて「教育の質を落とさない」ようにすることを目的として、学内全体で取り組みました。

教員は急遽ZoomやMicrosoft Teamsの使い方の学内研修を受け、連休中にオンライン授業用の教材を作成しました。また、学生のいない教室で授業を録画しアップしてVOD方式に対応しています。ITの苦手な教員もいますが、その場合にはITに強い教員が支援するなど、チームで対応している現状です。組織変革の際によくみられるコンフリクトは、ほとんどみられませんでした。

学生も当初は、突然遠隔でしかも自力で対応せざるを得ない状況にとまどったようです。今では遠隔授業に不安がある学生(1割強)、ほとんどあるいはまったく不安がない(6割)になっています。対面授業と比較した場合、遠隔授業は理解しやすい(4.5割)、どちらともいえない(3.5割)、理解しにくい(2割)でした。

学生も教員も意識が変わり、行動が変わりました。

3.次なる挑戦

試行錯誤中ですが、授業の録画ビデオ提供、チャット機能の活用等、使い方次第で対面による一斉型授業に個別指導を組み込める可能性がわかってきました。また、地方の大学が抱えていた講師招聘の場合などの物理的問題が解決できます。大学間連携型の授業も実施しやすくなり、授業の多様性が広がるのではないかと思います。

しかし、遠隔授業では難しい科目もあります。例えば、実習系科目です。どうやれば遠隔授業に組み込められるか。「できない理由を探すより、できる工夫を考える」で、学生と一緒に挑戦してみしたいと思います。

PMI日本支部理事
川崎医療福祉大学 医療福祉マネジメント学部医療秘書学科 教授
山本 智子

今回は現在進行中の問題とその対処について取り上げました。

納期優先で混乱しても走りながら対処するというのは、多くの日本人には居心地の悪い状況だと思います。

しかし、今起こっているのは、まさしく「今、ここ」で起こっていることに集中して対応することで、その蓄積が次の扉を開くということです。

予想される問題を心配するよりも、事態を好転させるべく団結して行動し、不快な期間を乗り越えてしまうという行動様式が、これから様々な変革の場面で壁を打破するキーになるかもしれません。

PMI日本支部
 広報担当理事 端山・冨岡