プロジェクトマネジャーは1日にして成らず

創立25周年記念全体プロモーションサポートチーム

赤澤なぎさ

私は社内でプロジェクトマネジャーの育成に関わっています。育成というと、私が講師となって座学でもしているのかと思われるかもしれませんが、実際はまだ「教科書作り」の段階です。プロジェクトマネジャーが何をするのか、はPMBOK®に書いてありますので、自社でいうと何をすべきか、という部分を具体的な内容に落とし込んでいるところです。

さて教科書作りを業務として始めた際に、新人時代に当時の現場やプロジェクトマネジャーを見て感じたことを思い出しました。たとえば一癖も二癖もあるメンバや顧客との話し合い、人も予算も足りないのにタスクだけは山積みの状況、上がらない品質、変えられない納期、etc…。休日だってつぶれがちなこんな大変な仕事、私はやりたくないなー、と思ったものです。

月日が流れ、別の部署でプロジェクトマネジャーとして活躍している方とお話をする機会があり、ついに私は聞きました。「どうしてプロジェクトマネジャーを長年されているんですか。業務が大変ですよね。」するとその人は笑いながら言いました。「プロジェクトが終わったときにお客さんから笑顔で、ありがとう、と言われるとやってよかったと思うんだ、それがやりがいだよ。」

その話を聞いたとき、プロジェクトのゴールは顧客や会社の利益を出すことかもしれないが、プロジェクトマネジャーのゴールは顧客の笑顔を引き出すことなんだ、と思ったのです。

翻ってプロジェクトマネジャーを育成するには、例えば研修医がベテラン医師の手術現場に同行するように、候補生がベテランプロジェクトマネジャーに同行してプロジェクトを管理し、最後に顧客から感謝されるというゴールを体験する必要があります。

やはり一朝一夕では育成できない難しさを改めて感じましたが、顧客の笑顔のために、知識と誇りをもって正しく活動ができる、そんな前向きなプロジェクトマネジャーを自社で育成したいという気持ちで、今も教科書作りに取り組んでいます。