その通りです。デザイン思考のアプローチで社会課題への取り組みを考えたとき、複数の解決策が得られ、そのうちいくつかを同時に進行させることもあります。その場合は単一のプロジェクトではなく、プログラムとしてのマネジメントが必要になります。
よくある質問 1-1で、デザイン思考とは何かという説明をしました。
それによれば、デザイン思考のアプローチは次の4つのステージを繰り返して、ソーシャル課題を解決に導きます。
・ステージⅠ(調査): 現状の社会の状況や人々の行動思考を観察/体験して、
・ステージⅡ(分析): 問題の本質を洞察し、
・ステージⅢ(統合): 課題を再定義して解決策の仮説を作り、
・ステージⅣ(実現): プロトタイピングによる試行錯誤
これをマネジメントしていく上で、さまざまなプロジェクトマネジメントの手法が使われますが、その代表的なケースを挙げると次のようになります。
・調査ステージでは、観察/体験から得られた人々の状況とその変化をステークホルダー・マネジメントで受けとめながら、関係者の期待やニーズを理解して解決への道筋を検討していきます。
・分析ステージでは、問題の本質を把握して、それを解決するための目標を設定することがベネフィット・マネジメントの狙いです。
・統合ステージでは、多くの場合、解決策の仮説が複数考えられます。そのとき各ステークホルダーのいろいろなベネフィットを総合的に評価して、優先順位を協議するためにポートフォリオ・マネジメントが役に立ちます。
・実現ステージでは、複数の仮説を順次試行していくために、アジャイル・マネジメントのアプローチをとることが有効です。
・そうして解決の糸口がつかめれば、定常的な活動として継続するためにビジネスモデルを確立します。
上記はプロジェクトマネジメントの手法と事業戦略手法になりますが、ここでは一つのケースを示したもので、それぞれの手法は特定のステージで固定的に使われるものではありません。デザイン思考アプローチ全般にわたって継続的に活用していくことが望まれます