2017年7月1日(土) にPMI日本支部 セミナールームで『ソーシャルPM紹介セミナー』を開催しました。当日の様子と成果をご報告いたします。
「ソーシャルPM実践ワークショップ」全6回シリーズの概要をご紹介するセミナーです(過去に第1回『ソーシャル・デザイン思考実践』、第2回『ソーシャル・ベネフィットマネジメント』を開催)。 ソーシャルPM研究会では、現場体験期、研究開発期を経て、ソーシャル課題解決プロジェクトに適したPM手法の開発と普及につとめています。 今回は、ワークショップ全体のご紹介とワークショップ体験を組み合わせた半日コースです。 本セミナーの学習目標は、以下の3点でした。 ①ソーシャル課題の解決に、「ソーシャルPM(プロジェクトマネジメント)」が必要であることを理解できる ②ソーシャルPM実践ワークショップが実践力を高める機会として、有効であることを理解できる ③「ソーシャルPM」手法の中で 要となる「ソーシャル・デザイン思考」の演習の体験を通じて、ソーシャルPMを実践できることを認識する。
ソーシャルPM研究会の石塚 幸夫講師から、「ソーシャルPM (プロジェクトマネジメント)の必要性」を説明しました。
そのポイントは以下のとおりです。
① ソーシャル課題とは、広範囲に影響を与える普遍的な問題・課題である
② 多様な課題が複雑に絡み合う「深い森に道をつくる」ようなプロジェクトであり、以下の6つの特徴があるため、それに対応できるフレームワークが必要である● ニーズ把握とゴール設定が困難
● ステークホルダーが様々である
● プロジェクトの成果が見えにくい
● 思い通りに進まない
● 優先順位が付けられない
● 持続可能性に問題がある ソーシャルPM研究会では、これらの6つに対応した全6回のワークショップを用意しており、そのコース概要も説明しました。昨年既に全コースを実施しているのですが、今年のコースではさらに新しい手法を取り入れブラッシュアップしています。
ソーシャルPM研究会の佐分利淳雄 講師のリードで、6コースの中でも要となっている「ソーシャル・デザイン思考」に関する演習を行いました。
一般的に人間の脳は5%の意識的活動と、95%の無意識的活動に分かれていると言われており、単なるヒアリングだけでは5%の部分のニーズしか引き出せません。その問題を解決し、言葉に出来ていない95%部分のニーズをとらえ「インサイト」を共有し、それを元にアイディアを構想・検証するサイクルを繰り返していくのが「ソーシャル・デザイン思考」のフレームワークです。
今回の演習では「インサイト」を共有する部分までを『ペルソナ』、『カスタマー・ジャーニー・マップ』、『3つのゴール』の3種類のツールと技法を使って体験していただきました。
最初の『ペルソナ』とは、ソーシャル課題にとって最も重要で象徴的なユーザーモデルを具体的に構築することで、プロジェクトメンバー内でのイメージを共有する手法です。今回は『震災体験』をテーマに、事前に用意した『ペルソナ』を理解いただき、この『ペルソナ』の震災体験をもとに、『ペルソナ』がどの時点でどのような感情を抱いたと思うか、付箋に書き出していただきました。
さらに、模造紙にその付箋を貼りだしてグループで『カスタマー・ジャーニー・マップ』を作成していただきました。『カスタマー・ジャーニー・マップ』は、『ペルソナ』がどのような局面でどのような感情を抱いたか、その感情に影響を及ぼした人・場所・設備等(「タッチポイント」)も含めて図示し、より深く『ペルソナ』を理解するための手法です。
今回の演習では、資料に明記されていない部分の解釈がグループごとに異なり、少しずつ異なるマップが出来上がりました。
次にグループで『3つのゴール』を作成していただきました。『3つのゴール』とは、ペルソナが「どのような結果を得たいか」(エンドゴール)、「どのような気持ちになりたいか」(エモーショナルゴール)、「どのような自分でありたいか」(ライフゴール)、の3つの観点でペルソナの潜在的欲求を理解するための手法です。 最後に、各グループが導き出した3つのゴールとその過程を発表しました。
以下、ワークショップへの参加者からいただいた声の一例をご紹介します。
今回の参加者の中には、ソーシャルPMに関心がある方や既にソーシャルPMに取り組んでいる方が多かったのですが、「今回のセミナーは、参加された動機を満足させるものでしたか?」というアンケートに対しては、回答者全員に「はい」と回答いただき、高く評価をいただいたと考えています。
次回は、8月26日 土曜日に、ソーシャルPM実践ワークショップの6回シリーズの3回目 『ソーシャル・ポートフォリオマネジメント実践』 を開催します。企業のCSR担当者、およびNPO等の社会活動担当者を対象に、共通価値を創造し、社会貢献で経済価値も高めるCSV経営についてご紹介します。