ソーシャル・プロジェクトマネジメント研究会 小笠原 絢貴
2016年8月27日(土) にPMI日本支部 セミナールームで 『ソーシャル・ビジネスモデルデザイン実践 -行きつ戻りつの試行錯誤で採算を確保する-』 のワークショップが開催されました。ワークショップでの学びと感想をご報告いたします。
ソーシャルPM実践ワークショップの6回シリーズのうち、第5回となる 『ソーシャル・ビジネスモデルデザイン実践』 です。
(過去に 第1回 ソーシャル・デザイン思考、 第2回 ソーシャル・ベネフィットマネジメント、 第3回 ソーシャル・ステークホルダーマネジメント、 第4回 ソーシャル・ポートフォリオマネジメントを開催)
ソーシャル・プロジェクトマネジメント研究会では、ソーシャル・ビジネスモデルデザインを 『ソーシャル課題解決の糸口をつかみ、定常的な活動として事業継続するためにビジネスモデルを確立するアプローチ』 と定義しています。
本ワークショップでは、ソーシャル課題を解決する事業のビジネスモデルが構築されるプロセス、ソーシャル・ビジネスモデルを起動させるカギ、複数のビジネスモデルを活用することの有効性を体得することを目標としました。
ソーシャル・プロジェクトマネジメント研究会の中谷 英雄講師から、ソーシャル・ビジネスモデルの定義、ソーシャル・ビジネスモデルデザインの必要性と論点、3種類のビジネスモデルについて説明していただきました。そして、いくつかのケーススタディを通じ、3種類のビジネスモデルを実際に活用して分析を行いました。
今回のワークショップでは、下記の3種類のビジネスモデルを使いました。
「バリュー・プロポジション・デザイン」 により顧客イメージを詰めて、価値提案との整合性を検証し、「ビジネスモデルジェネレーション」 によりビジネスモデルを仮設・検証し、 「ten types of innovation」 により競合他社との差別化、革新性を確認するといったプロセスでした。
午前中の演習では、コインパーキングを中心に、多様なサービスを展開する 「タイムズ24」 に関するビジネスモデルを分析しました。
ソーシャル・ビジネスはもともと市場ができていないことから、事業性がわかりづらく、持続可能でないと考えられがちです。その理由として、
などが挙げられますが、「事業を通して市場を自ら創る」 ことが社会起業の醍醐味であり、ソーシャル・ビジネスモデルの必要性を強く実感いたしました。
ワークショップでは 参加者 25名が 5人ずつ 5チーム にわかれ、ディスカッションや演習作業を行いました。それぞれのチームで活発にディスカッションを行い、盛り上がりながら作業を行いました。
今回は 「特定非営利活動法人 フローレンス」 の事業のビジネスモデルを題材としてワークを行いました。フローレンスは「小さい子供を持ちながら働く母親たち」のボトルネックであった「病児保育問題」の課題解決を目的として、駒崎弘樹氏が立ち上げたNPO法人です。本ワークでは、フローレンスによるビジネスモデルがどのように生み出されたのか、「病児保育場」をどのように創造していったのか、そのプロセスを明らかにすることを試みました。
ワークは、各チームが 「駒崎氏」 の立場となって、以下のフローに従って進めました。
午前に学んだ知識を活用し、ワークを通じて実践することで、より理解を深めながらビジネスモデルを可視化することができたのではないかと考えます。そして、中谷講師のリードにより、ビジネスモデルが時の経過とともに採算のとれるビジネスモデルへ徐々に変化していくことを体感することができたと感じます。
ワークショップの参加者から頂いた声の一部をご紹介いたします。
次回は、ソーシャルPM実践ワークショップの6回シリーズの6回目 『ソーシャル・アジャイルマネジメント実践』 となります。本ワークショップは、過去のワークショップからのリピーターが多いのが特徴的ですが、今回は比較的初めて参加された方が多くいらっしゃったのが印象的でした。そこからも、ソーシャル・プロジェクトマネジメントに対する関心が徐々に高まっていることを感じることができました。
以上