PMI日本支部 組織拡大委員会
PMoA(Project Management of Arts) WG
2026.4.9
2026年3月17日(火)にPMoAセミナー2026「地域と“紡ぐ”アートプロジェクト」を開催いたしました。本レポートでは、当日の熱気あふれるセミナーの様子をお届けします。

本セミナーは、「アートって、プロジェクトなの?」という問いを出発点とし、多様なアート事業・活動がプロジェクトベースで進行していることをお伝えする目的で開催いたしました。今回は、地元住民の方々を巻き込み、「アート×地域×プロジェクト」を通じて地域活性化や社会課題の解決を目指す実践的な事例に焦点を当てました。
当日は4名の素晴らしい講師をお招きし、それぞれの現場で進行中のアートプロジェクトについてお話しいただきました。
建築家であり、コドモチョウナイカイ事務局代表の式地氏からは、輪島市深見地区で展開されている「みんなの学校」プロジェクトについてご紹介いただきました。能登の自然・生業・文化や復興プロセスを活かし、子どもたちと社会課題との出会い方、地域との有機的な信頼関係をデザインする取り組みです。「のと里山里海のレジリエンスとサステティナビリティで子どもたちの生きる力と場を育む」という力強いコンセプトが印象的でした。
芸術学・社会環境学博士であり、NPOひいなアクション代表の高橋氏からは、能登半島地震からの復興をアートの力で支援する「ノト・コレカラート」についてご紹介いただきました。金沢へ二次避難している方々へのアートワークショップや避難所でのリサーチなど、「能登のこれからをアートで・つくる」という想いのもと、表現活動を通じて被災された方々の心のケアや地域の再生を目指すプロセスは、多くの参加者の心を打ちました。
続いて、高橋氏とアーティストのモンデン氏より、そごう美術館(横浜)にて開催されたキュレーション展「能登とARTISTS(仮)」についてお話しいただきました。石川県に縁のある11組のアーティストの作品を通じて、能登への思いを繋ぐ本展覧会の背景や願いについて深く知ることができました。モンデン氏の「記憶」や「物語」をテーマにした創作活動や、親子向けワークショップの実績も交え、アートが持つ「繋ぐ力」を再認識する時間となりました。
現代アーティストの池平氏からは、東大和市でのユニークな取り組みをご紹介いただきました。欠損した二宮金次郎像の左手を「本を持つ手」ではなく「誰かと手をつなぐ手」として再生し、「勤勉の象徴」から多様な人々が手を取り合う「共生の象徴」へとアップデートする挑戦です。児童や地域全体を巻き込み、街全体を「街まるごと美術館」のようにするアプローチや、料亭を改装して自然とアートを融合させた「アトリエ美術館・透明の森プロジェクト」のお話は、地域とアートの新しい関係性を提示してくれました。

各事例の発表後には、PMoAの活動や今後の関連イベントについての紹介を行いました。 今回のセミナーを通じて、参加者の皆様には、アートが単なる自己表現にとどまらず、社会課題を解決し、人や地域を繋ぐ強力なプロジェクトとして機能していることを実感していただけたのではないかと思います。皆様ご自身のビジネススキルや専門性をアートプロジェクトに活かすきっかけとなれば幸いです。
お忙しい中ご参加いただいた皆様、そして貴重な実践知を共有してくださった登壇者の皆様、誠にありがとうございました。PMoAでは、今後もアートとプロジェクトマネジメントの交差点を探求し、多様な学びと気づきの場を提供してまいります。