HOME > PMI日本支部について > PMI倫理・職務規定
私たちは、プロジェクトマネジメント(以下PMと略記)の実践者として、正義と名誉を重んじる行動をとることを約束します。私たちは高い基準を設定し、職場でも、家庭でも、専門職ボランティア活動においても、人生のあらゆる場面でこれらの基準を遵守することを目指します。
このPMI倫理・職務規定は、グローバルなPMコミュニティーにおいて、PM実践者である自身と仲間への期待事項を述べます。専門職、またはボランティアの役割として必須の行動はもとより、目指すべき理想を明確に述べるものです。
この規定の目的は、PM専門職に自信を植え付け、個人個人がよりすぐれた実践者になるための力になることです。それは専門職全体にわたって適切な行動についての広い理解を確立することで実現します。PM専門職の信頼と名声は、個人の行動の積み重ねによって築かれます。
私たちは個人としても集団としても、この規定を受け入れることによって、私たちの専門職業を発展させられると信じます。また、特に自分の品位や価値観について妥協を求められるような苦境に直面した場合に、この規定が賢明な判断をする手助けとなると信じます。
このPMI倫理・職務規定が倫理と価値観に関する学習、論議、執筆のきっかけとして機能することを願っています。さらに、この規定が最終的に私たちの専門職業を確立させ発展させるために使用されることを望みます。
PMI倫理・職務規定は、次に示す人々に適用されます。
1.2.1 すべてのPMI会員
1.2.2 PMI非会員で次の基準の1つ以上に合致する人:
注釈:会員、非会員に関わらずPMI認定資格保有者は、これまでPMP職務規定あるいはCAPM行為規定に対して責任を負っていましたが、これからはPMI倫理・職務規定に対して責任を負うことになります。過去においては、PMIは会員向けと資格認定者向けに別々の倫理規定を制定していました。しかし、この規定の策定に携わった関係者は、複数の規定をもつのは望ましくなく一つの高度の基準に誰もが従うべきだ、という結論に達しました。したがって、この規定はPMI会員にも、PMI会員資格にかかわりなくPMI認定資格保有者や認定出願者にも共に適用されます。
PMI倫理・職務規定は、PMコミュニティーにおいて最重要であると識別された4つの価値観に合わせた行為の基準を、章節として区分しています。注釈を含む節もいくつかあります。注釈はこの規定に必須のものではありませんが、参考例や解説を提供します。最後に、基準の末尾に用語集を付けています。用語集は、この規定で用いられる語句を定義します。便宜上、用語集に定義している用語には、規定の中で下線を引いています。
グローバルなPMコミュニティーの実践者は、意思決定の基準を形成し行動の指針となる価値観を識別するよう求められました。グローバルなPMコミュニティーが最重要と定義した価値観は、責任、尊敬、公正、誠実です。この規定はこれら4つの価値観を基盤におくことにします。
この倫理・職務規定には章ごとに希求基準と必須基準の両方があります。希求基準は、実践者として努力して維持する行為を記述したものです。この希求基準の遵守状況の測定は容易ではありませんが、これに従った振舞いこそ専門職として私たち自身に期待されているものなのです。これには選択の余地はありません。
必須基準は、厳守すべき必要条件を定めており、いくつかのケースで、実践者の行動を規制したり禁止したりするものです。これらの基準に従って振舞わない実践者は、PMI倫理レビュー委員会の下で懲戒手続きに従うことになります。
注釈:希求基準と必須基準に示す行為は排他的なものではありません。すなわち、ある特定な行動または怠慢が、両方の基準に違反することもあります。
責任とは、私たちの義務として、行うべき決定、とるべき行動、それに伴う結果、などを自分のものとして考えることです。
グローバルなPMコミュニティーにおける実践者として、
2.2.1 社会、公共の安全性、環境などにとっての最善策を基準として意思決定し、行動します。
2.2.2 自身の経歴、経験、スキル、資格、などに相応の職務のみを受け入れます。
注釈:実力不相応な職務または背伸びした職務が考えられているとき、特定の職務への適応性を詳細な情報に基づいてステークホルダーに判断してもらえるように、自身の適格性のギャップについてタイムリーで完全な情報を確実に渡すようにします。
契約に臨む場合には、自分たちの組織の担当能力がある仕事だけに応札し、仕事を遂行できる資格、能力のある要員だけを当てます。
2.2.3 引き受けた約束は守ります。すなわち、実施すると言ったことは遂行します。
2.2.4 自分たちが誤りや怠慢を起こしたときには、迅速に責任もって修正します。他人の誤りや怠慢を発見した場合は、それを見つけ次第、適切な組織にそのことを連絡します。自分たちが起こした誤りや怠慢による問題と結果について責任を負います。
2.2.5 委託された知的所有権や機密情報を守ります。
2.2.6 この規定を支持し、相互に責任を負います。
グローバルなPMコミュニティーにおける実践者として、自身および仲間の実践者に次のことを要求します。
規制と法的要求事項
2.3.1 自己の仕事、専門職活動、及びボランティア活動に適用される方針、規則、規制、法律に関する知識を持ち、それらを守ります。
2.3.2 非倫理的または違法な行為を適切な管理者に報告し、必要であれば、その行為によって影響を受ける人々にも報告します。
注釈:これらの条項にはいくつかの意味合いがあります。具体的には、窃盗、詐欺、汚職、横領、贈賄その他のいかなる不法な行動にも組みしないということです。さらに、知的財産を含む他人の財産を取り上げたり、権利侵害したりせず、他人の誹謗中傷や名誉毀損も行いません。世界中の実践者による調査グループは、この種の不法な行動が問題をはらんでいると述べています。
私たち専門職業の実践者および代表者として、不法な行動をしている他人を見逃したり支援したりはしません。いかなる不法行為も非倫理的行為も報告します。報告することは簡単でなく、それが否定的な結果をもたらすかもしれません。最近の企業スキャンダル以来、多くの組織が、不法行動や非倫理的行動について真実を明らかにする従業員を保護する方針を採用してきています。真実を進んで明らかにする従業員を保護するための法律を制定した政府もあります。
倫理の告訴
2.3.3 この規定の違反は、解決のために適切な組織に通報します。
2.3.4 事実によって実証される倫理の告訴だけを提起します。
注釈: これらの条項にはいくつかの意味合いがあります。告訴人か被告かを問わず、倫理違反の事実と関連情報の収集についてPMIに協力します。すべての事実を把握しているのでなければ、他人の倫理上の不正行為を告発することは控えます。さらに、他人に対して承知の上で虚偽の申立てをする個人には、懲戒処分を進めます。
2.3.5 倫理上の懸念を提起している人に対して報復する者には、懲戒処分を進めます。
尊敬とは、私たちの義務として、自分自身、他人、そして私たちに託された資源に対し高い敬意を示すことです。託された資源としては、人、金、名声、他人の安全、自然や環境資源などがあります。
尊敬の環境は、相互協力の促進によって、信頼、信用、および業績の卓越性を生みだします。それは、多様な考え方や見方が奨励され尊重される環境なのです。
グローバルなPMコミュニティーにおける実践者として、
3.2.1 他人の規範と慣習についての知識を持ち、彼らが失礼と感じるような振舞いに関与するのを避けます。
3.2.2 他人の考え方に耳を傾け、理解するよう努めます。
3.2.3 対立したり、意見が相違したりする人々に直接接触します。
3.2.4 報われない場合ですら、専門職としての態度で振舞います。
注釈:これらの条項の意味合いは、ゴシップに巻き込まれることを避け、他人の名声を傷つけるような否定的な意見を述べるのを避けるということです。この種の振舞いに関与する人に立ち向かうことも、この規定の下での義務です。
グローバルなPMコミュニティーにおける実践者として、自身および仲間の実践者に次のことを要求します。
3.3.1 交渉は誠意を持って行います。
3.3.2 他人の決定や活動に影響を及ぼして彼らの負担で個人的に利益を得るために、専門知識の力や地位の力を行使しません。
3.3.3 他人に対してののしりの態度で行動しません。
3.3.4 他人の所有権を尊重します。
公正とは、私たちの義務として、公平かつ客観的に意思決定し行動することです。私たちの行為は、私利私欲、偏見、情実を競い合うことのないものである必要があります。
グローバルなPMコミュニティーにおける実践者として、
4.2.1 意思決定過程の透明性を実証します。
4.2.2 必要に応じて是正処置を取りながら、公平性と客観性を絶えず見直します。
注釈:実践者に関する研究によれば、利害衝突というテーマは私たちの専門職業が直面する、最も手腕が問われる課題のひとつでした。実践者が報告した最大の問題のひとつは、忠誠心の衝突があってもその認識はなく、自分自身または他人が何かの事情で利害衝突という状況にさらされてしまった時に認識が生じるということです。私たちは実践者として、起こりうる対立を積極的に探し、起こりうる相互の利害衝突を浮き彫りにしてその解決を主張することで互いに助け合わなければなりません。
4.2.3 情報入手の権限を持つ人々に、平等にその情報へのアクセス手段を提供します。
4.2.4 資格ある候補者が平等に利用できるような機会を提供します。
注釈:これらの条項の意味合いは、契約に臨む場合に、入札手続期間中の平等な情報アクセス手段を提供するということです。
4.3 公正:必須基準
グローバルなPMコミュニティーにおける実践者として、自身および仲間の実践者に次のことを要求します。
利害衝突の状況
4.3.1 現実的または潜在的ないかなる利害衝突も、適切なステークホルダーに、積極的かつ完全に開示します。
4.3.2 現実的または潜在的な利害衝突の存在が判明した場合には、影響を受けるステークホルダーに全てを開示し、同意された軽減計画を用意し、ステークホルダーから継続の合意を得る、という段階にいたるまで、意思決定プロセスなどに関与して結果に影響を及ぼそうと試みることを控えます。
注釈:ある団体の代表として意思決定や他の結果に影響を及ぼす立場にある時に、利害衝突が起こります。それは、そのような意思決定や結果が、私たちが忠誠心を競っている一つ以上の団体に影響を与えるかもしれない場合です。例えば、従業員という立場では、雇用主に忠誠義務を負います。PMIボランティアという立場では、PMIに忠誠義務を負います。こうした異なる利害を認識し、利害衝突がある時には、意思決定に影響を及ぼすことを控えなくてはいけません。
さらに、分割された忠誠心を脇において公平な意思決定ができるということを信じるとしても、私たちは、利害衝突が発生すれば利害衝突として取り扱い、規定に記述された条項に従います。
情実と差別
4.3.3 個人としての情実に基づいて、雇用や解雇、報奨や処罰、契約の締結や拒絶をしません。情実としては、えこひいき、縁故、贈収賄、などがあり、それだけに限りません。
4.3.4 性別、人種、年齢、宗教、障害、国籍、性的指向などの一切の事項に基づく他人との差別を行いません。
4.3.5 情実や偏見なく、組織(雇用主、PMIあるいは他のグループ)の規則を適用します。
グローバルなPMコミュニティーにおける実践者として、
5.2.1 真実の理解を真剣に追及します。
5.2.2 コミュニケーションにおいても振舞いにおいても、正直にします。
5.2.3 タイムリーに正確な情報を提供します。
注釈:これらの条項の意味合いは、意思決定の基になる情報、あるいは他人に提供する情報が、正確で、信頼でき、タイムリーなものであることを保証するために適切なステップを踏むということです。
これには、不正確な情報かもしれない場合でさえ、悪いニュースの情報を共有する勇気を持つことが含まれます。また、結果が思わしくない場合に、情報を隠蔽したり他人に責任転嫁したりするのを避けます。結果が素晴らしいときには、他人の業績を自分の手柄にするのを避けます。これらの条項が、誠実と責任の両方に対する私たちの公約を強固にするのです。
5.2.4 暗示的であろうと明示的であろうと、誠意をもって表明し約束します。
5.2.5 人が安心して真実を述べることのできる環境作りに努力します。
グローバルなPMコミュニティーにおける実践者として、自身および仲間の実践者に次のことを要求します。
5.3.1 他人を騙すことを意図した振舞いに関与したり、それを容認したりすることはしません。この振舞いには、誤解させるようなまたは虚偽の記述、一部だけしか本当でない陳述、文脈から外した情報提供、それが知られると人を欺くまたは不十分な陳述だということがばれてしまうような情報の保留、などがあり、それだけに限りません。
5.3.2 個人的利益獲得をはかったり他人の費用に依存したりする不正直な振舞いには関与しません。
注釈:希求基準では、正直であることを強く推奨します。ステークホルダーを意図的に誤った方向に導くことを意図した、一部だけの真実、または非開示は、平然と虚偽の陳述をすることと同様に専門職としてふさわしいものではありません。私たちは、完全で正確な情報を提供することによって信頼を高めていくのです。
独立した専門職であるプロジェクトマネジメントに対するPMIのビジョンが原動力となって、倫理に関する早期の取組みが始まりました。1981年に、PMIの理事会は倫理・標準・認可のグループを組織化しました。このグループに要請された仕事のひとつが、専門職のための倫理規定の必要性についての審議でした。チームの報告書は、プロジェクトマネジメント専門職向けの倫理に関するPMIの審議結果の第一版を含んでいました。この報告書は、1982年8月にPMI理事会に提出され、1983年のプロジェクトマネジメント季刊誌(Project Management Quarterly)の別冊として出版されました。
1980年代後半に、この規定が進化してプロジェクトマネジメント・プロフェショナル [PMP(R)] 倫理規定になりました。1997年に、PMI理事会は会員の倫理規定の必要性を確認しました。PMI理事会は、PMI会員のための倫理規定を起草して発行するために、倫理政策文書化委員会を組織しました。理事会は、1998年10月に新しい会員倫理規定を承認しました。これに続いて、1999年1月に会員の訴訟手続きの理事会承認が行われ、ここで倫理の告訴、および違反発生有無の判定、を提起するプロセスが提供されました。
1998年の規定が採用されてから、PMI内部と経済界では劇的な変化が生じてきています。PMI会員は著しく増加しました。会員の増加は、北アメリカ以外の地域でも起こりました。経済界では、倫理上のスキャンダルが、一般大衆の怒りを買い、政府規制強化の引き金となり、グローバルな企業や非営利団体の破綻をもたらしました。グローバル化は、経済を互いに接近させましたが、同時に倫理の実践がそれぞれの文化によって異なってくることを実感させました。急速かつ連続的な技術変化は、新しい機会を生み出しましたが、同時に新しい倫理上のジレンマを含んだ新しい難題をもたらしました。
こういった理由から、2003年にPMI理事会は、倫理規定の再審査を指示しました。2004年にはPMI理事会は、倫理規定のレビューと規定改訂プロセスの策定に向けて倫理標準評価委員会 [ESRC] を任命しました。ESRCはグローバルなPMコミュニティーの活発な参加を促すプロセスを策定しました。2005年のPMI理事会では、PMコミュニティーのグローバルな参加が重要だということに同意し、規定改訂プロセスを承認しました。2005年に理事会はまた、倫理標準策定委員会 [ESDC] を任命し、理事会承認の改訂プロセスの遂行と、2006年末までに改訂規定を配付することとを指示しました。この倫理・職務規定は、2006年10月にPMI理事会によって承認されました。
倫理標準策定委員会 [ESDC] によるこの規定策定の最初のステップは、PMコミュニティーが直面している倫理上の問題点、および、世界のあらゆる地域の実践者にとっての価値と視点を理解することでした。これは、調査グループによる討論や、実践者、PMI会員、PMIボランティアおよびPMI認定資格保有者たちが参加した2つのインターネット調査など、多様な方法によってなし遂げられました。その上、チームは世界の様々な地域から24の非営利団体の倫理規定を分析し、倫理基準策定のベスト・プラクティスを研究して、倫理に関するPMI戦略計画の理念を検討しました。
ESDCによって行なわれたこの大規模な調査研究は、PMI倫理・職務規定の公開用草案を策定するための背景になりました。公開用草案は、グローバルなPMコミュニティーに配付され意見が求められました。規定の策定期間中は、ANSI(米国規格協会)によって確立された厳格な基準策定プロセスが用いられました。これらのプロセスはPMIの技術基準策定プロジェクトに使用されており、公開用草案に対するステークホルダーのフィードバックを入手し裁定するためのベスト・プラクティスを示すものと考えられたからです。
倫理・職務規定はこうした作業の結果で、グローバルなPMコミュニティーが強く望む倫理的価値観を述べているだけでなく、この規定に拘束されるすべての個人にとって必須の具体的な行為を扱っています。PMI倫理・職務規定に対する違反は、倫理訴訟手続きに従ってPMIによる制裁措置をもたらすことがあります。
ESDCが確認したことは、PMの実践者として私たちのコミュニティーが倫理に非常に真摯であるべき義務があり、私たち自身とその仲間がグローバルなPMコミュニティーにおいてこの規定の条項に従って振舞う責任があるということです。
身体的に危害を与えたり、または脅威、屈辱、ごまかしや他人から搾取したりするような強度の不快感をもたらす行為。
実践者自身、または自分が忠誠義務を負う人や組織に利益をもたらす一方で、同時に実践者が同様な忠誠義務を負う他の人や組織に損害を与えてしまう、といった意思決定や行動を行うときに、PM実践者が直面する状況。 実践者が対立している義務を解決できる唯一の方法は、影響を受ける人々に対立を開示し、実践者の採るべき方法を彼らに意思決定させることである。
密接に関係する組織や人の利益最大化を推進するという、法的または道徳的な人としての責任。
委員会、グループ、および公認の要素組織(支部、単科大学、研究会など)を含めたプロジェクトマネジメント協会全体の総称。
プロジェクトマネジメント協会に会員として参加している人。
PMI会員アドバイザリー・グループ、PMI標準策定チームまたは別のPMI作業グループや委員会への参加活動で、それらだけに限らない。また、公認のPMI要素組織の催しへの参加活動は、指導的役割に伴う活動でも、別種の要素組織教育の活動やイベントでも、これに含まれる。
PM専門職として、プロジェクトマネジメント、ポートフォリオマネジメント、あるいはプログラムマネジメントに貢献する活動に携わる人。
プロジェクトマネジメント協会の会員、非会員に関わらず、PMIスポンサー活動に参加する人。
以上「日本語訳:PMI日本支部」