ご挨拶

思いを形にするプロジェクトマネジメント

2022年2月にPMI本部が公開したGlobal Megatrends 2022では、6つのトレンド、

  • デジタルディスラプション
  • 気候変動危機
  • 人口動態の変化(高齢化)
  • サプライチェーン脆弱性
  • 労働力不足
  • 市民運動と平等運動(DE&I)

が取り上げられました。世界は社会問題や事業課題に取り組むプロジェクトで溢れています。プロジェクトマネジメントの重要性は増大し続けていますが、所与の目標達成に邁進するだけでなく、不安定不確実な環境下で機敏かつ柔軟に対応することが求められています。既成概念に囚われることなく問題の本質を捉えて解決策を実現する変革者、「チェンジメーカー」の役割がプロジェクトマネジャーにも求められています。

このような環境変化の中で、従来プロジェクトマネジメントに関心を示さなかった人達も、自らの思いを形にするための体系的なアプローチを必要としています。プロジェクトマネジメントが産業や社会に、そして一人ひとりの自己実現に役立つことをPMIにお集まりの皆様は十分ご承知のことと思います。しかし、まだお気づきでない方も大勢いらっしゃるので、プロジェクトマネジメントを発展させ、普及させるという我々のミッションは、一段と社会的重要性を増しています。

一方、以前からプロジェクトマネジメントを習得し、その技量を磨いてこられた方々にとっては、活躍の機会が拡大していると同時に、適応と成長を求められてもおります。例えば、Global Megatrends 2022の冒頭に取り上げられたデジタルディスラプションに対応できるデジタルの達人になるためには、

  • 革新的思考
  • 倫理観とコンプライアンス
  • セキュリティとプライバシー
  • データサイエンス
  • データに基づく判断能力
  • 協働的リーダーシップ

といった知識やスキルが必要とのことです。

このような環境変化と社会的ニーズに応えるため、PMI本部が昨年発表した戦略計画では、思いを形にする人達に実行力を与えること(Empowering People to Make Ideas a Reality)を標榜し、PMI 4.0という形で戦略目標と重点領域が設定されました。

PMI日本支部もPMI本部と連携を深めつつ、より広範な方々にプロジェクトマネジメントの重要性を訴求し、会員およびプロジェクトマネジメントに関心を持つ方々の成長と自己実現をお手伝いする施策に磨きをかけております。この2年間、コロナ禍の厳しい状況に置かれましたが、オンラインイベントが定着して参りました。移動を伴わないイベント参加、オンデマンド配信による時間制約の克服、首都圏以外の会員へのリーチなど、従来とは異なった価値を提供できるようになりました。他支部が軒並み会員数を減少させる中、おかげ様でPMI日本支部の会員数はコロナ禍前を越えて増加を続けており、世界第3位の規模に達しました。

今後も会員の関心事や社会的要請に焦点を当てて新たなコミュニティを立ち上げるなど、特に若年層のニーズや関心事を汲み取り地道な働きかけを継続して、会員基盤の拡大につなげていきます。また、法人スポンサーの皆様を中心に産業界のニーズに応え、プロジェクトマネジメントの価値を高め、またその価値を広くご理解頂くための活動を充実して参ります。ひとつには、昨年創設したPM Awardを継続、拡大し、プロジェクトマネジメントの有用性を広く伝えていきます。

PMI日本支部は、2022年2月の理事選挙の結果を受け、3月25日に開催した社員総会及び理事会を経て新体制をスタートさせました。上記の通り、プロジェクトマネジメントの重要性は高まるばかりであり、我々の前には大きな可能性が開けています。同時に大きな社会的責務を担っているとも自負しております。

PMI日本支部は多くの会員ボランティアに支えられて多様な活動を遂行できています。数々のイベントや研究会、委員会を通じて、多くの皆様が交流し、研鑽する機会を提供しておりますが、そのような機会の価値は多くの皆様にご参画頂くことで発生し、高まっております。引き続き温かいご支援と忌憚のないご意見をお寄せ頂きますようお願い申し上げます。

2022年3月吉日
PMI日本支部会長
端山 毅