創立25周年記念イベント「PMoA」セミナーに参加して





若菜 真穂
PMP

 自身がアートの領域に高い関心を持っていることもあり、本セミナーの開催をとても楽しみにしていました。当日は「地方創生」「アート」「デジタル」各領域に軸足を置く講演者の方々のお話を伺うことができ、全体を通して非常に多くの知見と気付きを得られた有意義な機会になったと感じています。

 地方創生活動とアートプロジェクトは、2000年代からの地域芸術祭勃興の動きからもわかるように、もはや互いを無視できない非常に近い関係性にある。そうした認識はあったものの、そこに適切なパワーバランスでビジネスの視点が加わることにより、経済的に持続可能なモデルが成立しうるのだということを、熱海での事例を踏まえて理解できたように思います。加えて、限られたエリアに集中させることによって生まれるアイデアや取り組みそのものが、地方創生活動およびアートプロジェクトとしての強い個性に繋がっていることの面白さも感じました。

 また、保存と活用という点に主眼を置いたデジタルアーカイブのお話も興味深いものでした。先端技術の活用が過去の芸術文化資料の保存のみならず現代の表現や体験・価値創出に繋がり、ひいては未来へその価値を残すことにもなる。一方で、保存だけでなく継続的な活用を実現できなければ運用そのものが終了してしまうケースもあるとの言及から、ここでも「持続」「継続」が大きなキーワードとなっている印象を受けました。

 三者三様のお話と総括講演を通じて、文化芸術活動におけるプロジェクトマネジメントの可能性をますます感じられたように思います。今後PMoAで進められるであろう同分野の事例研究やナレッジの可視化・体系化等の活動に、強い興味を抱きました。セミナー後の展覧会ツアーも含め、とても実りある時間を過ごすことができたこと、改めて講演者の皆さまならびに運営の皆さまに感謝いたします。